米国の新しい高血圧治療ガイドライン「2014 Evidence-Based Guideline for the Management of High Blood Pressure in Adults. Report From the Panel Members Appointed to the Eighth Joint National Committee (JNC 8)」が2013年12月18日、JAMA誌ウェブサイトで発表された。

 今回の改訂作業の開始は2008年3月、米国NIHを構成する研究機関であるNHLBIによる、「Eighth Joint National Committee on the Prevention, Detection, Evaluation, and Treatment of High Blood Pressure」の招集に遡る。つまり、改訂作業が開始されてから丸5年、JNC 7の発表(03年)から数えれば実に10年ぶりの改訂だ。途中13年6月、NHLBIが外部の組織と協力したガイドラインの取りまとめを今後行わないと決定したことから、委員会がその後の作業を引き継いで発表に至った。

 今回の改訂に当たり、降圧薬による治療開始値と降圧目標値、および降圧薬の選択基準の3点について、それぞれ臨床的アウトカムを改善するかというClinical Questionに限定して論文を吟味したという。論文収集に際しても、観察研究やメタ解析は除外し、計2000人以上の高血圧患者を対象に多施設で行われたランダム化比較試験のみという厳しい条件を設定した。

 こうした検討方針のため、JNC 7では、高血圧について疾患概念から診断、治療、難治例への対応まで幅広くレビューしていたが、JNC 8ではそれらは割愛されている。例えば高血圧の定義については、JNC 7のものを踏襲するとコメントされているだけだ。

 新しいJNC 8では、9つの勧告(Recommendation)が提示されている。その最初が、わが国でも関心が高い高齢者高血圧についての勧告だ。60歳以上の高血圧患者で慢性腎臓病(CKD、糸球体濾過量[GFR]≦60mL/min/1.73 m2)または糖尿病を合併していない場合は、収縮期血圧(SBP)150mmHg以上もしくは拡張期血圧(DBP)90mmHg以上であれば降圧薬による治療を開始し、降圧目標は150/90mmHg未満とした(勧告1、グレードA[強く勧められる])。

 ただし、既に降圧治療を実施していてSBPが140mmHg未満になっており、薬剤による副作用などが生じていないなど治療の継続に問題がない場合は、降圧目標を引き上げる必要はないとしている。これはExpert Opinion(勧告のグレードはE)であると断りながらも、特に「Corollary Recommendation」と称して、独立して勧告1の次に言及した。

 JNC 7でもわが国のガイドライン(JSH2009)でも、年齢にかかわらず降圧目標は140/90mmHgとしており、JNC 8ではSBPでの基準を10mmHg緩和したことになる。これは、SBPで140〜160mmHgまたは140〜149mmHgと目標を緩和した治療と140mmHg未満を目標とした治療との間で、得られる利益に差はないと判断したためという。ちなみにこの根拠として引用されている論文は、わが国で行われたJATOSとVALISHだ。ただ、この降圧目標の緩和には委員の間でも異論が出て、目標血圧値についてはさらなる研究が必要という点で委員の意見が一致したと、あえて記されている。