1次エンドポイント(心血管死、心不全増悪による入院、心停止からの蘇生からなる複合エンドポイント)の発生率はスピロノラクトン群が18.6%とプラセボ群の20.4%に比べ低かったが、ハザード比(HR)は0.89(95%信頼区間[CI]:0.77-1.04、図1)で有意差は認められなかった(P=0.138)。項目別に比較したところ、心血管死と心停止からの蘇生失敗では有意差はなかったが、心不全増悪による入院はスピロノラクトン群の方が有意に低下した(HR:0.83、95%CI:0.69-0.99、P=0.042、図2)。また、全死亡と全入院のリスクは両群で同程度だった。

図1 TOPCAT試験における1次エンドポイント

図2 TOPCAT試験における心不全増悪による入院

 副作用については、総報告数はスピロノラクトン群が2395、プラセボ群が2387と両群に差はなく、出現した患者の割合もそれぞれ48.5%、49.6%と同程度だった。高カリウム血症(5.5mmol/L以上)の頻度は18.7%、9.1%と、スピロノラクトン群で有意に高かったが(P<0.001)、低カリウム血症(3.5mmol/L未満)は16.2%、22.9%と、プラセボ群で有意に高率だった(P<0.001)。なお、高カリウム血症に関連した死亡は報告されていない。

 血清クレアチニン値が正常上限値の2倍に上昇するHRは1.49(95%CI:1.18-1.87)で、スピロノラクトン群で有意に多かった(P<0.001)。しかし、安全性委員会が危険レベルと定義した3.0mg/dL(265μg/L)を超える症例の頻度は両群間で有意差はなく、透析移行の増加も認められなかった。

 以上の成績からPfeffer氏は、「スピロノラクトンがHFpEF患者における心血管死、心停止を抑制するエビデンスは得られなかった。しかし、1次エンドポイントの中で最も高頻度に発生したイベントである心不全増悪による入院リスクが、スピロノラクトンによって抑制されたことは重視されてよい。期待できる治療法に乏しいHFpEFの現状を踏まえると、大きな意味を持つ知見だ」と述べた。また、カリウムやクレアチニンの変化を注意深くモニターすれば安全性を確保できると指摘した上で、「同薬には心不全増悪を抑制する治療薬として有用性が期待できる」と結んだ。

■追加
・12月2日に図1と図2を追加しました。