米国Brigham and Women's HospitalのMarc A. Pfeffer氏

 心不全症状は認められるものの左室駆出率(LVEF)が保持された心不全(heart failure with preserved ejection fraction:HFpEF)は心不全患者の約半数を占めるとされ、その予後は不良といわれる。収縮不全型心不全(heart failure with reduced ejection fraction:HFrEF)での効果が確認されているレニン・アンジオテンシン(RA)系抑制薬による治療が試みられてきたが、これまで有用性を示すエビデンスは得られておらず、HFpEFの病態に関与するといわれるアルドステロンに注目が集まっていた。米国Brigham and Women's HospitalのMarc A. Pfeffer氏が研究グループを代表し、アルドステロン受容体拮抗薬スピロノラクトンをHFpEF患者に投与すると症状増悪による入院を有意に減少させることを、第86回米国心臓協会・学術集会(AHA2013)で発表した。

 今回報告されたのはTOPCAT試験の結果で、米国やロシアなど6カ国から270施設が参加した国際共同多施設試験。対象は、心不全症状を有し、年齢が50歳以上、LVEFが45%以上、さらに過去1年以内に心不全による入院歴がある、もしくは60日以内に血中BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)が100pg/mL以上またはNT-proBNP(N末端前駆体BNP)が360pg/mL以上に上昇した患者とした。一方、主な除外基準は、推算糸球体濾過量(eGFR)が30mL/min/1.73m2未満、血清カリウムが5mmol/L以上、コントロール不良の高血圧、心房細動が90回/分以上、直近の急性冠症候群(ACS)発症、拘束型・肥大型心筋症など。

 これらの患者をスピロノラクトンまたはプラセボを投与する群に無作為に割り付け、二重盲検法により追跡した。スピロノラクトンの投与量は15mg/日から始め、副作用が認められなければ1カ月後に30mg/日に増量した。4カ月後からは主治医の裁量により45mg/日への増量も可能とした。

 無作為割り付けの対象となったのは3445例(スピロノラクトン群が1722例、プラセボ群が1723例)で、平均3.3年経過観察した。患者背景を見ると、年齢は両群とも69歳、女性比率はそれぞれ52%、51%、RA系阻害薬の投与率はともに84%、β遮断薬はそれぞれ78%、77%、利尿薬は81%、82%で、いずれも有意な差はなかった。その他、NYHAクラス別の割合、BNP・NT-proBNP高値例の割合、主要心血管合併症の割合、喫煙率、血圧・心拍数、腎機能などにおいても、両群間で有意差は認められなかった。また、8カ月後における試験薬の平均投与量は、スピロノラクトン群が25mg/日、プラセボ群が28mg/日で、観察期間中の薬剤中止率はそれぞれ34.3%、31.4%だった。