薬剤耐性の有無などを基に患者ごとの治療戦略を考えるべき
 現在、SMVを含め新たなC型肝炎治療薬の開発が複数進んでいますが、今後、C型肝炎の治療戦略は大きく変貌するでしょう。

 HCVがSMVに対する薬剤耐性を獲得すると、他のプロテアーゼ阻害薬でも耐性を示す可能性が高いと考えられるため、プロテアーゼ阻害薬の投与は適切な症例のみに行うべきです。

 また、IFNを用いない経口の2剤併用療法が臨床試験段階にあり、使用薬剤の1つはNS5A阻害薬です。ところが、過去に投与されていないにもかかわらず、日本人の1割以上がこの薬剤に対する耐性変異を持っていることが既に分かっています。IFNの副作用や経口薬による治療であることなどを踏まえ、この新治療法の登場を待っている患者もいるようです。しかし、仮に耐性変異を持っていると治癒可能性は高くないので、待つことは必ずしも得策ではありません。一方、PEG-IFN+RBVを含む治療法であれば、こうした薬剤耐性のリスクは減るでしょう。

 これからは、1つの治療方針を全ての患者に適用することはできないのです。個々の患者ごとに適切な治療戦略を考え、提案する必要があります。SMVが臨床応用されれば、薬剤耐性の有無が治療のポイントになる可能性が高いでしょう。PEG-IFNが有効な患者であれば、PEG-IFN+RBVにSMVを併用すると治療効果がより高まります。一方、PEG-IFNが効きにくい患者だと、SMVを併用しても著効率は半分程度で、薬剤耐性ウイルスになるリスクが出てくるため、他の選択肢を考慮する必要もあります。

 そのため、C型肝炎治療に携わる医師には、薬剤耐性の有無やIL28B遺伝子多型などを踏まえ、実施時期を含め、総合的に治療方針を決定することが求められます。その意味からも、指導的な立場の肝臓専門医の役割はますます重要になると思います。