ゲノタイプ1型高ウイルス量のC型肝炎患者は、これまで難治とされてきた。このほど、新規のプロテアーゼ阻害薬simeprevirを用いると、既存の治療法よりも著効率が高まる一方、副作用は少ないとの結果が得られた。同薬の第3相試験であるCONCERTOに携わった泉並木氏に、その結果とC型肝炎治療の今後の方向性について解説してもらった。


 今年6月の日本肝臓学会で、私を含む3人の発表者が「CONCERTO-1」「CONCERTO-2」「CONCERTO-3」「CONCERTO-4」の結果を報告しました。これらは全てNS3/4Aプロテアーゼを阻害する新規経口薬であるsimeprevir(SMV)の第3相試験です。同薬はC型肝炎ウイルス(HCV)の増殖過程において重要な役割を果たす酵素の作用をブロックします。今回、ゲノタイプ1型高ウイルス量のC型肝炎患者において、ペグインターフェロン(PEG-IFN)とリバビリン(RBV)、SMVによる3剤併用療法がC型肝炎治療に有効であることが示され、C型肝炎治療のあり方が今後大きく変わると考えられます。

使いやすい治療薬が待ち望まれていた
 日本では現在、1型高ウイルス量症例には、PEG-IFNα-2b+RBV+プロテアーゼ阻害薬テラプレビル(TVR)の24週投与が標準的な抗ウイルス療法とされています(3剤併用は最初の12週で、残りの12週はPEG-IFNα-2b+RBVの2剤併用)。ただし、TVRは溶血性貧血の増強や重篤な皮膚障害の発現などの恐れがあるため、これらのマネジメントがきちんと行える体制が確保できる医療機関、すなわち皮膚科専門医や肝臓専門医がいる医療機関でないと使用できませんでした。また、8時間間隔で1日3回食後に服用し、それを12週間継続しなければなりません。副作用の多さを併せて考えると、最初の2週間程度は入院が必要となります。従って、治療効果は高い薬剤ですが、治療対象者が限定され、広く普及するには至っていませんでした。

 同症例にTVRが使用できない場合はPEG-IFN+RBVの48〜72週投与を考慮することになっています。しかし、治療に伴い、間質性肺炎、眼底出血、湿疹、うつ症状が出た場合は、専門医の下での十分な管理が必要となります。さらに、治療期間が1年から1年半と長く、患者はそれだけの期間、副作用に耐えながら毎週注射を受ける必要がありました。

 すなわち、もう少し使いやすい薬剤が渇望されている状況なのです。SMVの服薬は1日1回で済み、新規の副作用は特に見られないという結果でした。治療中にごく軽度のビリルビンの上昇が見られましたが、多くは一過性のもので投与期間が終わると元に戻りました。また、ビリルビン上昇例では、治療を継続しても自然に改善したので、治療を継続できる可能性があるということです。このように、安全性の高さが同薬の大きな利点です。

 治療期間が短いこともSMVのメリットとして挙げられます。3剤併用療法の場合、通常24週で済みます。また、第3相試験の結果を見る限り、治療初期に入院を必要とするような問題点はなかったと理解しています。

 まだ承認されていないので、投与に際してどういう条件が付くかは分かりませんが、SMVが医療保険の対象になれば、皮膚科との連携が必要ないなど制約が減るため、治療対象が相当広がるとともに、C型肝炎治療が大きく変わると期待しています。