大腿膝窩動脈(FP)領域に病変を持つ慢性閉塞性動脈硬化症の病態は、間歇性跛行と重症下肢虚血(CLI)の2つであり、それぞれ治療目標が異なる。間歇性跛行患者の治療目標は、跛行距離の改善と心筋梗塞や脳梗塞の発症予防だが、「第1選択である運動療法や薬物療法で症状が改善するのは2割程度」(小倉記念病院循環器内科部長の横井宏佳氏)。症状が改善しなかった場合は、カテーテルによる血管内治療(EVT)またはバイパス手術で血行再建を行う。一方のCLIは、痛みの除去と切断回避のため、できる限り早期に血行再建術を行う。

 血行再建術の方針は、2007年改訂のガイドライン「TASC II」で示されており、病変長が15cm以内であれば第1選択はEVT、15cm以上であればバイパス手術だが、カテーテル治療も考慮するとしている。その後、FP領域でのカテーテル治療の長期成績が徐々に蓄積され、現在はカテーテル治療を優先して行う方向にシフトしつつある。しかし、カテーテル治療の成功率は95%以上と高いものの、治療後の再狭窄が高率で起こることが課題として残る。

 こうした中、カテーテル治療後に抗血小板薬2剤(アスピリン+チクロピジン)を投与する標準的な方法に、抗血小板薬シロスタゾールを追加することで再狭窄率をどの程度改善できるかを検討したのが、日本で行われた多施設共同無作為化オープン比較試験「STOP−IC」だ。試験結果は、今年のTranscatheter Cardiovascular Therapeutics (TCT)2012で発表され、シロスタゾール追加により、EVT12カ月後の再狭窄率が71%抑制された。さらに、血行再建術再実施率も有意に減少した。同試験の責任医師でもある横井氏は、「ステント留置した冠動脈疾患例への薬物療法で、これほどクリアに再狭窄抑制効果が示された試験はなかった」と語る。

血管造影法で狭窄を評価

 試験は、2009年1月から2011年6月に、全国の心血管センター17施設から190人が登録された。対象は、臨床症状分類のRutherford分類2〜4で、推定余命2年以上のFP領域病変を持つ慢性閉塞性動脈硬化症患者。「シロスタゾール群」と「非シロスタゾール群」に無作為に割り付け、EVTを実施。治療4週間後までは、非シロスタゾール群にはアスピリン100mg+チクロピジン200mgを、シロスタゾール群にはシロスタゾール200mgを追加投与した。EVT4週間後から12カ月後は、治療4週間後までのレジメンからチクロピジン以外を投与した(図1)。

図1●STOP-IC試験デザイン
(出典:TCT2012での横井宏佳氏の発表より)