2018年6月14日、未熟児動脈管開存症治療薬イブプロフェン L-リシン(商品名イブリーフ静注20mg)が発売された。適応は「未熟児動脈管開存症で保存療法(水分制限、利尿剤投与等)が無効な場合」、用法用量は「通常3回、初回10mg/kg、2回目および3回目各5mg/kgを15分以上かけて24時間間隔で静注」となっている。

 未熟児動脈管開存症(PDA)は肺動脈と大動脈をつなぐ動脈管が出生後も開存したままとなる疾患。開存が小さい場合には一般的には無症状であるが、開存が大きく、さらに症状が悪化すると、頭蓋内出血、壊死性腸炎、肺出血や腎不全(乏尿)などの重大な合併症を併発し、慢性肺疾患や未熟児網膜症、低栄養など長期予後にも影響をもたらす可能性が示唆されている。  

 未熟児動脈管開存症の治療としては、水分制限や利尿薬投与などの保存療法が行われた後に、内科的療法もしくは外科的療法が行われるが、外科的療法の前には内科的療法としてプロスタグランジン(PG)合成阻害薬による薬物学的結紮治療が行われている。日本では、PDAに適応を有するPG阻害薬としてはインドメタシンナトリウムの静注製剤(インダシン)のみであった。このインドメタシン製剤は、有効性は高いものの、無尿、乏尿や腎機能異常などの副作用発現が課題となっていた。

 イブプロフェンL-リシン製剤は、PG合成阻害薬としては2番目となる薬剤であり、欧米では既にPDAに対して臨床使用されていた。また、イブプロフェン製剤は、インドメタシン製剤に比べて安全性が高いことが報告されている。このことから、平成24年に日本未熟児新生児学会(現:日本新生児成育医学会)から早期承認を求める要望書が提出され、「医療上の必要性が高い未承認薬・適応外約検討会議」(平成26年9月開催)で高い評価を受けたことから開発が進み、今回の承認に至った。

 非臨床試験成績および米国での臨床試験成績を基に、日本国内でのPDA患者を対象とした国内第3相試験では、インドメタシン製剤と同等の有効性が確認された。

 国内第3相試験では、85.0%に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められている。主なものとして尿量減少(乏尿を含む)(40.0%)、腎機能障害(25.0%)、血中クレアチン増加(20.0%)、血中尿素増加(15.0%)であり、重大なものは急性腎障害、無尿、肺高血圧症、壊死性腸炎、消化管穿孔、イレウス、血小板減少症、出血、胃腸出血、肺出血、頭蓋内出血が報告されている。

 イブプロフェンL-リシン製剤は、国内での治験症例が極めて限られていることから、製造販売後、一定数の症例に係るデータが集積されるまで、全症例を対象に使用成績調査を実施することにより、本剤使用患者の背景情報を把握するとともに、本剤の安全性および有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じることとなっている。