2018年6月11日、パーキンソン病治療薬ラサギリンメシル酸塩(商品名アジレクト錠0.5mg、同錠1mg)が発売された。用法用量は「1日1回1mgを経口投与。なお、軽度の肝機能障害(Child-Pugh分類A)、低体重の患者、高齢者では、低用量での投与も考慮」となっている。

 パーキンソン病(PD)は、静止時振戦、強剛、無動、姿勢反射障害の4大運動症状を特徴とする一方で、自律神経障害、うつ、睡眠障害、認知症などの非運動症状も高頻度に合併する病因不明の多系統変性疾患である。中高年に好発し、日本では約15〜18万人の患者がいると推定されている。病理学的にはPDは中脳の黒質線条体ドパミン神経の不可逆的な変性・脱落が特徴。薬物治療は、脳内に不足したドパミンを補充するレボドパ(ドパゾールドパストン他)などのL-ドパ含有製剤、ブロモクリプチン(パーロデル他)などのドパミン作動薬を中心として、セレギリン(エフピー)のモノアミン酸化酵素B(MAO-B)阻害薬、エンタカポン(コムタン)のカテコール-O-メチル基転移酵素(COMT)阻害薬などが臨床使用されている。

 ラサギリンは、既存のセレギリンに次ぐMAO-B阻害薬。MAO-B阻害薬はドパミンやセロトニンの分解酵素であるMAO-Bの阻害することで、脳内のドパミン濃度を上昇させる薬剤である。PDの治療では未治療の初期PD患者での改善効果が認められ、さらにL-ドパ使用開始を遅らせる可能性も報告されている。また、進行期PDではwearing-offを改善し、L-ドパ平均作用時間の延長効果があるとされている。

 承認時までセレギリンとラサギリンとの直接比較試験などは行っていないものの、ラサギリンはセレギリンと異なりアンフェタミン骨格構造を有しないことからアンフェタミン骨格による不眠症、異常な夢、心臓障害および神経障害のリスクが少なく、さらに覚せい剤原料の規制の対象にならない。

 レボドパ含有製剤非併用および併用における二重盲検比較試験と長期投与試験で有効性と安全性が確認された。海外において、2018年3月現在、米国、欧州を含む世界50カ国以上で承認されている。

 承認時までの国内外の臨床試験から副作用(臨床検査値異常を含む)が半数近く認められている。主な副作用はジスキネジア、悪心、頭痛など。重大な副作用として起立性低血圧、傾眠、突発性睡眠、幻覚、衝動制御障害、セロトニン症候群、悪性症候群が現れることがあるので注意する。