2018年5月22日、血友病A治療薬エミシズマブ(商品名ヘムライブラ皮下注30mg、同皮下注60mg、同皮下注90mg、同皮下注105mg、同皮下注150mg)が発売された。適応は「血液凝固第VIII因子に対するインヒビターを保有する先天性血液凝固第VIII因子欠乏患者における出血傾向の抑制」、用法用量は「1回3mg/kgを1週間間隔で4回皮下投与し、以降は1回1.5mg/kgを1週間間隔で皮下投与」となっている。

 血友病A(先天性血液凝固第VIII因子欠乏症)は、血液凝固第VIII因子(FVIII)の機能的欠損を特徴とするX染色体連鎖劣性遺伝性の出血性疾患であり、主に男性に発症する。正常な血液凝固能が障害されていることで、出血を繰り返し、また出血が長時間にわたる。出血部位は、頭蓋内、関節内、筋肉内などの深部に特に注意が必要で、出血に伴う合併症として、関節の重度の腫れや痛み、関節障害などの機能障害につながりやすい。日本では約5000人が血友病Aに罹患している。

 血友病Aの治療として、従来からオクトコグ ベータ(コバールトリイ)やルリオクトコグアルファペゴル(アディノベイト)などFVIII製剤による補充療法(定期的、出血時または周術期の投与)が標準的治療法とされているが、血友病A患者に20〜30%、FVIII製剤の治療効果を減弱するインヒビターの出現が認められている。このインヒビター保有患者の急性出血または手術時には、FVIIIを迂回する血液凝固反応による止血効果を期待したバイパス製剤による治療が行われている。使用されているバイバス製剤としては、乾燥人血液凝固因子抗体迂回活性複合体(ファイバ)、乾燥濃縮人血液凝固第尚子加活性化VII因子(バイクロット)、活性型凝固第VII因子製剤エプタコグ アルファ(ノボセブン)の静注製剤がある。

 エミシズマブは、活性型血液凝固第IX因子(FIX)と血液凝固第X因子(FX)に対する遺伝子組換えヒト化二重特異性モノクローナル抗体(バイスペシフィック抗体)で、既存のバイパス製剤とは異なる作用機序を有する。活性型第IX因子と第X因子に結合して活性型X因子の産生を促すという、血友病Aで欠損または機能異常を来しているFVIIIの補因子機能を代替する作用機序を有している。また本薬は、自己注射が可能な週1回の皮下注製剤であり、2016年8月に希少疾病用医薬品に指定されている。

 承認時までのインヒビター保有血友病A患者を対象とした国際共同第3相臨床試験[12歳以上:HAVEN1(BH29884)試験、12歳未満:HAVEN2(BH29992)試験]において有効性と安全性が確認された。
  
 国内第1/2相臨床試験および国際共同第3相臨床試験から副作用が24.1%認められている。主な副作用は注射部位反応(14.9%)であり、重大なものは血栓塞栓症、血栓性微小血管症(各1.4%)が報告されている。