2018年5月22日、腰椎椎間板ヘルニア治療薬コンドリアーゼ(商品名ヘルニコア椎間板注用1.25単位)が薬価収載された。本薬は、3月23日に製造販売が承認されている。適応は「保存療法で十分な改善が得られない後縦靭帯下脱出型の腰椎椎間板ヘルニア」、用法用量は「1.25単位を症状の原因である高位の椎間板内に単回投与」。

 腰椎椎間板ヘルニアは、脊柱管内に突出あるいは脱出した腰椎椎間板組織(ヘルニア)が馬尾・神経根を圧迫して強い下肢痛やしびれなどの神経症状を引き起こす疾患で、20から40歳代に好発する。

 現在、腰椎椎間板ヘルニアの治療では保存療法と手術療法に大別されているが、多くの患者で保存療法により3ヵ月以内に軽快することから、治療の原則は保存療法となっている。この保存療法では、安静、コルセット等の理学療法と鎮痛薬、筋弛緩薬、抗うつ薬などによる薬物療法が推奨されている。しかし一方で、これらの保存療法を行っても十分な改善が見られずに手術療法が選択される症例も少なくないのが現状だ。手術療法は、全身麻酔下で行う必要があり、患者への侵襲性も高く、さらには術後血腫など重篤な合併症の発現のリスクもある。
 
 海外では、1982年よりタンパク分解酵素のキモパパインを椎間板の髄核内に直接注入し、椎間板内圧を減少させる椎間板内酵素注入療法(化学的髄核融解術)が実施されていたが、アナフィラキシーや重度の腰痛などの副作用発現により販売中止となっていた。

  コンドリアーゼは、タンパク質を分解せずに椎間板内髄核中の主な保水成分プロテオグリカンを構成するグリコサミノグリカン(主にコンドロイチン硫酸)を特異的に分解し、プロテオグリカンの保水能を低下させる特性を有している。その結果、椎間板内圧が低下しヘルニアによる神経根圧迫が軽減され、臨床症状(下肢痛、腰痛など)が改善すると考えられている。既存のキモパパインと同様に椎間板内酵素注入療法(化学的髄核融解術)の薬剤としての効果が期待されている。国内第3相試験では、主要評価項目の最悪時下肢痛の変化量(VAS)などにおいて有意な改善が認められ、有効性と忍容性が確認された。

 国内臨床試験などから副作用(臨床検査値異常を含む)が53.3%認められていることに十分注意する必要がある。主なものとして、Modic分類の椎体輝度変化(23.6%)、腰痛(22.3%)、椎間板高の30%以上の低下(14.4%)、下肢痛(4.8%)などがある。重大なものとして、ショック、アナフィラキシーは報告はされていないが、発現するおそれがあるので、投与終了後も観察を十分に行い、異常が認められた場合は、直ちに適切な処置を行うこととされている。

【訂正】
2018年6月13日に以下の訂正をしました。
最終パラグラフにおいて、「下肢痛(4.8%)などであり、重大なものはショック、アナフィラキシーが報告されている。」としていましたが、正しくは「下肢痛(4.8%)などがある。重大なものとして、ショック、アナフィラキシーは報告はされていないが、発現するおそれがあるので、投与終了後も観察を十分に行い、異常が認められた場合は、直ちに適切な処置を行うこととされている。」です。本文は修正済みです。お詫びして訂正いたします。