2018年3月23日、二次性副甲状腺機能亢進症治療薬エボカルセト(商品名:オルケディア錠1mg、同錠2mg)の製造販売が承認された。適応は「維持透析下における二次性副甲状腺機能亢進症」、用法用量は「成人1回1mgを開始用量とし、1日1回経口投与。患者の状態に応じて開始用量として1日1回2mgも投与可。以後は、患者の副甲状腺ホルモン(PTH)および血清カルシウム濃度の十分な観察のもと、1日1回1〜8mgの範囲内で適宜用量を調整するが、効果不十分な場合には1日1回12mgまで投与可」となっている。

 二次性副甲状腺機能亢進症(SHPT)は、慢性腎不全(CKD)の進行に伴ってリン(P)の排泄低下およびビタミンD活性化障害に伴う血中カルシウム(Ca)濃度低下により副甲状腺ホルモン(PTH)が過剰に分泌される疾患。SHPT患者ではPTH過剰分泌により骨吸収が促進されて骨痛や関節痛などの症状を引き起こす。さらに、骨から溶け出したPおよびCaが全身の心血管系に蓄積し、異所性石灰化などにより動脈硬化などの心血管系障害の発症リスクが高まり、生命予後に影響を及ぼす危険性がある。

 「慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常の診療ガイドライン(CKD-MBD診療ガイドライン)」(日本腎臓学会)では、透析患者における血清P、CaおよびPTH濃度の管理目標値が示されており、血清intact PTH(iPTH)濃度の管理目標値は60〜240pg/mLとされている。SHPT患者におけるPTH管理を目的とした薬物治療としてカルシトリオール(ロカルトロール他)などの活性型ビタミンD製剤およびCa受容体(CaSR)作動薬の経口製剤シナカルセト塩酸塩(レグパラ)、注射製剤エテルカルセチド塩酸塩(パーサビブ)が個々の患者の状態により用いられている。具体的には、PTH値が高くPまたはCa値が正常または高値の場合はCaSR作動薬、PまたはCa値が正常または低値である場合は活性型ビタミンD製剤の投与が考慮される。

 エボカルセトは新規構造のCaSR作動薬であり、CaSR作動薬の経口製剤としてはシナカルセトに次ぐ薬剤である。CaSR作動薬は、副甲状腺細胞表面のカルシウム受容体に直接作用することで、血清カルシウム値を上昇させずにPTHの分泌を抑制するとともに、血清リン値をも低下させる作用を有している。

 エボカルセトは、承認時までの臨床試験などからシナカルセトと同等の有効性を有するとともに、上部消化管に関連する副作用やチトクロムP450(CYP)の関与や阻害作用がシナカルセトに比べて低いことから薬物相互作用の軽減が確認されている。

 国内の臨床試験から副作用が42.2%認められていることに十分注意する必要がある。主なものとして悪心(4.7%)、嘔吐(4.1%)、腹部不快感(3.7%)、下痢(3.2%)などであり、重大なものは低Ca血症(16.8%)、QT延長(0.6%)が報告されている。そのため、治療中は血清Ca濃度を定期的に測定することが注意喚起されている。