2018年3月23日、抗サイトメガロウイルス化学療法薬レテルモビル(商品名プレバイミス錠240mg、同点滴静注240mg)の製造販売が承認された。適応は「同種造血幹細胞移植患者におけるサイトメガロウイルス感染症の発症抑制」、用法用量は「1日1回480mg、シクロスポリンと併用する場合は1日1回240mgを投与。注射製剤では約60分かけて点滴静注」となっている。

 サイトメガロウイルスCMV)は、通常、乳幼児期にCMV保有者の唾液等の分泌物を介して、多くの場合、不顕性感染する。日本人成人のCMV抗体保有率は80〜90%といわれているが、近年は抗体保有率の低下傾向が認められている。潜伏感染しているCMVは免疫抑制、炎症、感染、ストレス等により再活性化が生じることが知られており、特に、同種造血幹細胞移植(HSCT)患者では、免疫力が著しく低下しており、再活性化されたCMV感染症が高頻度に認められ、死亡率をはじめ、移植後の予後に関わっていることが報告されている。

 国内外の診療ガイドラインではHSCT後のCMV感染症対策として、予防的投与と先制治療が記載されている。現在までに臓器移植例に対してサイトメガロウイルス感染症の発症を抑制するバルガンシクロビル(バリキサ)があるが、HSCTは対象外で、HSCTにおける予防投与の適応を有している薬剤はない。CMV抗原血症検査でCMV再活性化が確認された時点でガンシクロビル(デノシン)などの抗ウイルス薬(抗CMV薬)を使用した先制治療が行われている。しかし、CMVの再活性化では、先制治療の実施の有無によらず、ウイルス量依存的に移植後1年以内の死亡率が増加する報告があり、さらに抗CMV薬の使用で骨髄抑制や腎毒性等の懸念も指摘されていた。

 レテルモビルは、CMVのウイルスゲノムDNAの切断およびパッケージングに必要な、ヒトには存在しないDNAターミナーゼ複合体を選択的に阻害することで、一単位長のゲノム生成およびカプシドへのパッケージングを抑制し、ウイルス粒子の形成を阻害する新しい作用機序を有する世界初のCMVターミナーゼ阻害薬である。日本人を含むCMV抗体陽性のHSCT患者を対象とした第3相国際共同試験の結果からCMV感染症の発症抑制効果および安全性が確認された。海外では、2018年1月現在、米国およびカナダ、欧州連合などで承認されており、日本では2016年2月に希少疾病用医薬品に指定されていた。

 第3相国際共同試験ではレテルモビルを移植後14週目まで経口または静注しており、移植後24週目までに副作用が16.9%認められている。主な副作用は、悪心(7.2%)、下痢(2.4%)、嘔吐(1.9%)などであった。

 レテルモビルは経口剤(錠剤)および注射(点滴静注)製剤の有害事象が類似していたことから、経口剤と注射製剤は同一の用法・用量となっている。このことから、経口投与が可能な場合は錠剤を選択し、患者が嚥下不能または錠剤の吸収を妨げる可能性のある状態(嘔吐、下痢、またはその他の吸収不良状態)の場合は、医師の判断により注射剤を使用することが可能となっている。