2018年1月19日、抗悪性腫瘍薬アテゾリズマブ(商品名テセントリク点滴静注1200mg)の製造販売が承認された。適応は「切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」。用法用量は「成人に1回1200mgを3週間間隔で60分かけて点滴静注。初回投与の忍容性が良好であれば、2回目以降の投与時間は30分間まで短縮可能」となっている。
 
 肺癌のうち、80%以上は非小細胞肺癌(NSCLC)といわれており、その多くは診断された時点で進行または転移が認められ、5年生存率も低いといわれている。従来から肺癌治療では、外科治療、薬物療法[シスプラチン(ランダ、ブリプラチン他)などのプラチナ製剤を含む細胞障害性抗癌薬]、放射線療法が行われていたが、近年癌免疫療法、特に非特異的免疫調節制御因子に抑制的に作用する免疫チェックポイント機構に関連した治療への応用が展開されている。
 
 免疫チェックポイント機構は本来、自己に対する過剰な免疫応答を制御するためのものだが、癌微小環境においては癌細胞が抗腫瘍免疫応答からの逃避を達成するために利用されている。プログラム細胞死1(PD-1)、プログラム細胞死リガンド1(PD-L1)やCTLA-4などのT細胞表面分子を介した経路や制御性T細胞、骨髄由来制御性細胞など様々な因子が関与している。現在、これらの免疫チェックポイントに対する抗ヒト/ヒト化モノクローナル抗体が各種癌治療の治療薬として臨床使用されている。NSCLCにおいては、PD-1に対するニボルマブ(オプジーボ)とペムブロリズマブ(キイトルーダ)が適応を有している。
 
 今回承認されたアテゾリズマブは、PD-L1に結合し、PD-L1とその受容体であるPD-1の相互作用を阻害することにより、癌抗原特異的なT細胞の細胞傷害活性を増強して癌増殖を抑制するヒト型抗ヒトPD-L1モノクローナル抗体である。同じPD-L1に対するモノクローナル抗体としては、2017年11月より「メルケル細胞癌」に適応を有するアベルマブ(バベンチオ)が臨床使用されている。

 アテゾリズマブの承認時までのプラチナ製剤を含む化学療法歴のある切除不能な進行・再発のNSCLC患者を対象とした国際共同第3相臨床試験では、PD-L1発現を問わない患者を対象に検討され有効性及び安全性が確認された。海外では、米国など世界50カ国以上で初認されている。
 
 国際共同第3相臨床試験で副作用が64.0%に認められていることに注意する。主なものとして疲労(14.3%)、悪心(8.7%)、食欲減退(8.5%)などであり、重大なものは間質性肺疾患、肝機能障害、肝炎などが報告されている。