2018年1月19日、結核化学療法薬ベダキリンフマル酸塩(商品名サチュロ錠100mg)の製造販売が承認された。適応は「多剤耐性肺結核」、用法用量は「必ず他の抗結核薬と併用しながら投与開始から2週間は1日1回400mg、その後、3週以降は1回200mgを週3回、48時間以上の間隔をあけていずれも食直後投与」となっている。
 
 WHOガイドラインにおける結核への化学療法としては、リファンピシン(RFP:リファジンなど)、イソニアジド(INH:イスコチンなど)、エタンブトール(EB:エサンブトールなど)、ピラジナミド(PZA:ピラマイド)の4剤併用による2カ月間の強化療法に続き、RFP及びINHの併用による4カ月の維持療法を行うことが標準となっている。しかし、化学療法が最短でも6ヵ月間を要し、治療の中断や不規則な服薬が結核菌の薬剤耐性化、さらには多剤耐性化を招く懸念が指摘されていた。

 現在、多剤耐性化された結核菌の治療薬として、2014年9月よりデラマニド(DLM:デルティバ)が肺結核に対して臨床使用されているのみである。

 ベダキリンは、DLMに次ぐ日本で2番目となる多剤耐性肺結核の治療薬であるが、DLMと異なる作用機序を有するジアリルキノリン系の薬剤である。具体的には、結核菌のATP合成酵素を特異的に阻害し、増殖期及び休眠期の結核菌のいずれに対しても強い殺菌活性を示す薬剤である。

 多剤耐性肺結核の患者を対象とした国内第2相臨床試験(TBC2001試験)、海外第2相臨床試験(C208試験及びC209試験)から有効性と安全性が確認された。海外においては2018年2月現在、米国(2012年12月)、欧州(2014年3月)をはじめとして世界52の国又は地域で承認されている。日本では2015年9月に希少疾病用医薬品の指定を受けていた。

 承認時までの国内及び海外臨床試験から副作用(臨床検査値異常を含む)が症例の半数に認められていることに十分注意する必要がある。主なものは頭痛、浮動性めまい、悪心、嘔吐、下痢、トランスアミナーゼ上昇、関節痛、筋肉痛などであり、重大なものはQT延長、肝機能障害が報告されている。そのため、投与開始前及び投与中は定期的に心電図検査などを行うことが必要となる。また、既存のDLMと同様に薬剤使用に当たっては耐性菌出現防止及び適正使用の推進のため、適格性確認システムに登録された医師・薬剤師のいる医療機関・薬局において、登録患者にのみ使用できることに留意しておく必要がある。