2018年1月19日、ヒト化抗IL-5受容体αモノクローナル抗体ベンラリズマブ(商品名ファセンラ皮下注30mgシリンジ)の製造販売が承認された。適応は「気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない難治の患者に限る)」、用法用量は「1回30mgを初回、4週後、8週後、以降は8週間ごとに皮下注射」となっている。高用量の吸入ステロイドとその他の長期管理薬を併用しても、経口ステロイドの投与などが必要な喘息増悪をきたす患者に本薬を併用投与する。

 気管支喘息は、気道の慢性炎症、気道過敏性の亢進、可逆性の気道閉塞等を特徴とする慢性の呼吸器疾患であり、気道炎症が持続すると、気道の機能障害とそれに続く気道構造の変化により、非可逆性の気流制限をもたらしてしまう。具体的な症状としては発作性の呼吸困難、喘鳴、胸苦しさ、咳などである。
 
 現在、国内外の気管支喘息治療に関するガイドラインでは吸入ステロイド薬(ICS)による治療が第一選択となっており、重症度により長時間作用型β2刺激薬(LABA)、ロイコトリエン受容体拮抗薬、テオフィリン、長時間作用性抗コリン薬(LAMA)、経口ステロイド薬などが使用されている。しかし、これらの治療を行っても、喘息症状をコントロールできない難治性の症例も散見されていた。

 ベンラリズマブはIL-5受容体αサブユニットに特異的かつ高親和性で結合することでIL-5の作用を抑制する抗IL-5受容体αモノクローナル抗体である。またベンラリズマブは、糖鎖からフコースを除去する技術により、ナチュラルキラー細胞を誘導して好酸球を直接的に除去する抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性を併せ持つ。そのため血中、喀痰、気道中の好酸球を直接除去することが示されている。

 近年、免疫及び炎症システムに深く関与しているサイトカインに対するモノクローナル抗体製剤[抗IgE製剤オマリズマブ(ゾレア)、抗IL-5製剤メポリズマブ(ヌーカラ)]が臨床使用されるようになり、治療効果も向上してきた。しかし、気道の炎症をもたらす好酸球の活性化にはIL-5だけでなく、他のサイトカインも関与していることが解明され、IL-5の中和作用だけでは気道の好酸球を完全に除去することが難しい症例も散見されていた。このことから、日本アレルギー学会からベンラリズマブの早期承認の要望も出されていた。なお、血中好酸球数と効果の間に相関があると考えられていることから、血中好酸球数を考慮した上で適応患者の選択を行うことが使用上の注意として示されている。

 ベンラリズマブは、日本人を含む第3相国際共同試験(CALIMA試験)[対象;中用量又は高用量ICS及びLABAを使用してもコントロール不良の成人および小児喘息患者]にて本薬を4週間ごとに追加した結果で有効性及び安全性が確認された。海外では、2017年11月米国、2018年1月欧州にて承認されている。
 
 承認時までの国内および海外の安全性評価対象試験では、13.4%に副作用が認められていることに十分注意する必要がある。主なものは注射部位反応(2.1%)、頭痛(2.0%)などであり、重大なものとして重篤な過敏症のアナフィラキシー(蕁麻疹、血管浮腫、喉頭浮腫、アナフィラキシー反応など)が報告されている。