2017年12月19日、光線力学診断用薬アミノレブリン酸塩酸塩(商品名アラグリオ顆粒剤分包1.5g)が発売された。本製剤は、9月27日に製造販売が承認、11月22日に薬価収載されていた。適応は「経尿道的膀胱腫瘍切除術時における筋層非浸潤性膀胱癌の可視化」。膀胱鏡挿入3時間前(2〜4時間前)に20mg/kgを水に溶解して経口投与する。

 生物界に広く存在する生体内物質の5-アミノレブリン酸(ALA)は、正常細胞内においてプロトポルフィリンIX(PPIX)を経て、最終的にヘムに変換される。一方、悪性腫瘍細胞では、正常細胞に比べてPPIX生成までの酵素活性は高いが、PPIXからヘムに変換するための酵素活性が低いことから、PPIXが多量に蓄積する。PPIXは、青色光(400〜410nm)で励起されると赤色蛍光を発することが認められている。

 この原理を利用してALAは、悪性神経膠腫の腫瘍摘出術中の腫瘍組織の可視化に適応を有する凍結乾燥製剤(アラグリオ内用剤、アラベル)として2013年から使用されていた。体内に光感受性物質を投与し、標的となる生体組織にある波長の光を照射する治療法のことを光線力学的療法と呼ぶ。ALAは腫瘍組織の可視化に利用されるのに対し、ポルフィマー(フォトフリン)、タラポルフィン(レザフィリン)などの薬剤は、レーザー光が照射されると活性酸素を生じるため、腫瘍細胞や腫瘍血管に直接障害して抗腫瘍効果を示す特徴がある。

 筋層非浸潤性膀胱癌は、未治療膀胱癌の約70%を占めており、基本的に初期治療として白色光下での経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)による膀胱温存の治療方針がとられている。しかし、症例の31〜78%でTURBT施行後5年以内に再発し、再発と寛解を繰り返すうちに高異型度または浸潤性の癌に進展して予後不良になるとの報告がある。TURBTでは視認困難な微小病変や平坦病変(CIS) などが残存することが原因として考えられおり、これらの残存を可能な限り取り除くことが重要視されている。

 ALAの顆粒製剤アラグリオは、TURBTにおける筋層非浸潤性膀胱癌に適応を有した日本初となる製剤である。また、本薬は2013年5月に希少疾病用医薬品に指定されている。国内第3相臨床試験(非盲検試験)において、ALA投与での筋層非浸潤性膀胱癌でのTURBT施行時における青色光下の赤色蛍光の有無による腫瘍の可視化に関する有効性と安全性が、従来の白色光下での観察との比較において確認されている。

 臨床試験において臨床検査値異常を含む副作用が37.4%に認められていることに十分注意する必要がある。主な副作用として、AST増加(17.1%)、ALT増加(13.8%)、LDH増加・血中ビリルビン増加(各9.8%)などがあり、重大な副作用は肝機能障害が記載されている。