2017年12月8日、癌疼痛治療薬オキシコドン塩酸塩(商品名オキシコンチンTR5mg、同TR錠10mg、同TR錠20mg、同TR錠40mg)が薬価収載と同時に発売された。適応は「中等度から高度の疼痛を伴う各種癌における鎮痛」で、1日10〜80mgを2回に分割して投与する。また、オキシコドン製剤(配合製剤を除く)としては2003年7月から徐放製剤(オキシコンチン他)、2007年2月から即放製剤(オキノーム)、2012年5月から注射製剤(オキファスト)が臨床使用されている。オキシコンチンTRは既存の徐放製剤を製剤学的に改良した製剤である。

 各種癌疾患における疼痛に対しては、WHOガイドラインである「WHO方式癌疼痛治療」に基づいて、非オピオイド鎮痛薬やオピオイド鎮痛薬などが臨床現場で汎用されている。中でも、軽症から中等度以上の強さの疼痛ではオキシコドンなどのオピオイド鎮痛薬が治療薬の主流となっている。

 オキシコドンは、国内外の癌疼痛ガイドラインにおいてモルヒネ(アンペック他)、ヒドロモルフォン(ナルラピド、ナルサス)と同様に中等度から高度の癌疼痛治療に用いる標準薬剤と位置付けられており、各診療科領域で広く使用される強オピオイド鎮痛薬である。一方、米国などではオピオイド鎮痛薬が普及した結果、誤用・乱用が増加して大きな社会問題となっている。錠剤をハンマーなどで砕いて粉末状にし、それを水に溶解させて注射するといった乱用が後を絶たない。2013年以降、米食品医薬品局(FDA)は乱用防止特性を有する薬剤の使用を推奨し、従来のオピオイド鎮痛薬から切り替えるよう勧めている。

 日本では、「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で乱用防止機能を備えたオキシコンチンTR錠の対して高い評価がなされたことで、開発が進み、今回の承認に至った。オキシコンチンTR錠は消化管内で水分を吸収すると膨潤し、ゲル化によって短時間での溶解が困難となり、徐々にオキシコドンが溶出する徐放機構を備えている。また、既存の製剤に比べて粉末まで砕くことが困難な錠剤となっている。

 空腹時投与による既存の徐放製剤との生物学的同等性に関しても判定基準を満たすことが確認されている。このことから、本製剤に関する新たな安全性での臨床試験は行われていないものの、既存の製剤の再審査終了時までに副作用が37.5%に認められていることに十分注意する必要がある。主な副作用としては便秘(21.5%)、悪心(13.3%)、傾眠(6.0%)、嘔吐(5.3%)などがあり、重大な副作用はショック、アナフィラキシー、依存性、呼吸抑制、錯乱、せん妄、無気肺、気管支痙攣、喉頭浮腫、麻痺性イレウス、中毒性巨大結腸、肝機能障害が記載されている。

 上記のように空腹時における既存製剤との生物学的同等性が確認されているものの、高脂肪食を摂取した後の投与ではオキシコドンの血中濃度上昇が認められている。このため、既存製剤から本製剤への食後投与切り替えにおいては、副作用の発現に十分な注意が必要である。また、服用に関しては錠剤を割ったり、砕いたり、あるいは噛み砕くと徐放機構が発揮されず、血中オキシコドン濃度が必要以上に高くなる危険性があることに十分留意し、患者指導を行わなければならない。