2017年11月22日、ヒト型抗ヒトIL-6受容体モノクローナル抗体製剤サリルマブ(商品名ケブザラ皮下注150mgシリンジ、同皮下注200mgシリンジ)が薬価収載された。本薬は、9月27日に製造販売が承認されていた。適応は「既存治療で効果不十分な関節リウマチ」で、過去の治療で少なくとも1剤の抗リウマチ薬による治療を行っても効果不十分な患者に対し、1回200mgを2週間隔で皮下注射する。患者の状態によって1回150mgに減量する。

 関節リウマチRA)は進行性の炎症性自己免疫疾患で、全身の関節における滑膜の炎症を特徴とする。日本では、60〜70万人がRAに罹患していると推定されており、特に30〜50代の女性の罹患率が高い傾向にある。主症状は、多発する関節炎と急速に進行する関節破壊などの関節症状であるが、肺、腎臓、心臓、眼、皮下組織などの関節外にも炎症性障害が分布する。

 RAの治療目標としては、関節炎による疼痛の軽減、関節破壊の防止、関節機能の維持によって、患者の身体的、精神的、社会的な生活の質の向上を図ることとされている。

 治療の中心となるのは疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARDs)を使用した薬物療法で、発症の初期段階ではメトトレキサート(リウマトレックス他)や非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)の使用が基本となる。ただし、効果不十分な症例に対してはキメラ型抗腫瘍壊死因子(TNF)αモノクローナル抗体であるインフリキシマブ(レミケード他)、可溶性TNFレセプターとヒトIgGとの融合蛋白であるエタネルセプト(エンブレル)およびヒト型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体製剤のアダリムマブ(ヒュミラ)、ゴリムマブ(シンポニー)、ペグヒト化抗ヒトTNFαモノクローナル抗体Fab'断片製剤のセルトリズマブ(シムジア)、T細胞選択的共刺激調節薬のアバタセプト(オレンシア)、インターロイキン-6(IL-6)阻害薬のトシリズマブ(アクテムラ)といった生物学的製剤が用いられている。

 サリルマブは、トシリズマブに次ぐIL-6阻害薬で、いずれもIL-6受容体に結合する。IL-6は、炎症反応、種々の細胞の分化誘導や増殖、免疫反応の調節、血小板産生の増加など多様な生理作用を有しており、RAの病態形成に深く関与していることが知られている。サリルマブは炎症を引き起こすIL-6の活性を抑制することで関節の炎症を改善し、全身症状(関節の変形や破綻から生じる機能障害、疲労、貧血、骨粗鬆症など)を緩和する。

 メトトレキサートの治療で効果不十分な患者を対象として、メトトレキサートまたは他のDMARDs併用における国内臨床試験および海外臨床試験において、本薬の有効性と安全性が確認された。海外では、カナダ、米国、欧州で承認されている。

 国内臨床試験では、副作用が66.8%に認められていることに十分注意する必要がある。主な副作用には、鼻咽頭炎(13.2%)、好中球減少症(12.3%)、注射部位紅斑(8.6%)、口内炎(5.2%)などがあり、重大な副作用として感染症、無顆粒球症、白血球減少症、好中球減少症、血小板減少症、腸管穿孔、ショック、アナフィラキシー、間質性肺炎、肝機能障害が報告されている。

 感染症を合併している患者または感染症が疑われる患者には慎重投与となっており、中でも結核の既感染者(結核の既往歴のある患者や、胸部X線上結核治癒所見のある患者)では、結核を活動化させる可能性が否定できないので、胸部X線検査等を定期的に行うなど結核症状の発現に十分注意することとなっている。

 なお、サリルマブは日本リウマチ学会の要望により、在宅自己注射指導管理料の対象薬剤への追加が了承されている。新薬に適用される約1年の14日処方制限が解除された後、同指導管理料の対象となる。