2017年11月22日、全身性エリテマトーデス治療薬ベリムマブ(商品名ベンリスタ点滴静注用120mg、同点滴静注用400mg、同皮下注200mgシリンジ、同皮下注200mgオートインジェクター)が薬価収載された。本薬は、9月27日に製造販売が承認されていた。適応は「既存治療で効果不十分な全身性エリテマトーデス」。既存の治療に上乗せ投与するもので、用法用量が投与方法によって異なることに注意する。

点滴静注(IV)製剤
 1回10mg/kgを初回、2週後、4週後に点滴静注する。以後、4週間隔で投与。
皮下注(SC)製剤
 1回200mgを1週間間隔で皮下注する。

 全身性エリテマトーデスSLE)は、抗DNA抗体や抗核抗体などの自己抗体の産生や、Bリンパ球(B細胞)の機能異常などの免疫異常を伴う自己免疫疾患である。免疫複合体が組織に沈着して生じる組織障害を代表に、多彩な全身性炎症性病変が引き起こされる。SLEの症状は、疲労などの全身症状をはじめとして、皮膚・粘膜症状、筋・関節症状、腎症状、神経症状、血液学的症状と多彩であり、個々の患者によって障害される臓器や程度により出現する症状が異なっている。SLEは難病指定されており、登録者数は6万人に上る。20〜40歳代の若年女性に好発し、寛解と増悪を繰り返して慢性の経過を取ることが多いとされている。

 現在、SLEに対する標準治療薬としては、ステロイド薬や非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)が使用されている。臓器障害の重症度に応じてシクロスポリン(ネオーラル)、アザチオプリン(イムラン、アザニン他)、シクロフォスファミド(エンドキサン他)などが使用されており、2015年からはミコフェノール酸モフェチル(セルセプト他)や抗マラリア薬のヒドロキシクロロキン(プラケニル)も臨床使用されている。

 ベリムマブは、SLEに対する可溶型Bリンパ球刺激因子(BLyS)に対するヒト型免疫グロブリンG1λモノクローナル抗体である。このBLySは、SLEなどの自己免疫疾患患者で過剰発現しており、血清中濃度とSLE症状(ループス疾患)の活動性が相関することが認められている。また、SLEの病態形成および疾患活動性とも関連性を示唆する報告も多い。BLySは、腫瘍壊死因子(TNF)リガンドスーパーファミリーに属し、Bリンパ球のアポトーシス阻害、免疫グロブリン産生細胞への分化に関与している。ベリムマブは、可溶型BLySに高親和性に結合することで、自己反応性Bリンパ球を含めたBリンパ球の生存を阻害し、またBリンパ球の免疫グロブリン産生形質細胞への分化を抑制する。

 ベリムマブ投与開始30日以上前から既存薬(ステロイド薬、抗マラリア薬、免疫抑制薬、NSAIDs)の単独または併用で一定量継続投与しているSLE患者を対象とした第3相試験(IV製剤:BEL110751、BEL110752、BEL113750試験・SC製剤:BEL112341試験)で本剤の上乗せ効果の有用性が確認された。海外では、IV製剤が2011年3月米国、2011年7月欧州をはじめとして、2017年6月までで世界70カ国以上で承認されている。また、SC製剤は2017年7月時点では米国で承認されおり、欧州で審査中となっている。

 ウイルス性上気道感染、細菌性尿路感染、鼻咽頭炎などの副作用(臨床検査異常を含む)が認められていることに十分注意する必要がある。重大な副作用としては重篤な過敏症、感染症、進行性多巣性白質脳症、間質性肺炎が報告されている。また、結核の既往歴を有する患者には結核を再活性化させるおそれがあるので、胸部X線検査を定期的に行うなど結核症状の発現に注意する必要があり、慎重投与となっている。

 なお今回、承認されたSC製剤は2種類ともに自己注射指導管理料の対象薬剤である。1つは薬液が充填されたプレフィルドシリンジを安全装置と組み合わせたシリンジ製剤であり、もう1つは、同じプレフィルドシリンジをペン型注入器と組み合わせたオートインジェクター製剤である。