2017年9月27日、潰瘍性大腸炎治療薬ブデソニド(商品名レクタブル2mg注腸フォーム14回)の製造販売が承認された。適応は「潰瘍性大腸炎(重症を除く)」で、1回1プッシュ(2mg)を1日2回、直腸内に噴射する。

 潰瘍性大腸炎は「主として粘膜を侵し、しばしばびらんや潰瘍を形成する大腸の原因不明のびまん性非特異性炎症」と定義される慢性難治性炎症性腸疾患である。大腸の粘膜に炎症が生じ、潰瘍やびらんが肛門から口側に向かって連続的に発現する。20歳前後の若年者に好発し、激しい腹痛や下痢などの症状が現れる「活動期」と、症状がほとんど消失している「寛解期」を繰り返す。肉芽腫性炎症病変を呈するクローン病も、病態や治療方針などに似た面があることから、潰瘍性大腸炎と合わせて炎症性腸疾患(IBD)と呼ばれる。潰瘍性大腸炎の発症原因は明確に解明されておらず、根本的な治療法は確立されていないのが現状である。

 潰瘍性大腸炎の治療の基本は症状のコントロールであり、速やかに寛解導入を図り、寛解を長期に維持することが治療目標となる。薬物治療としては、病態(病型・病期・重症度)に応じてサラゾスルファピリジン(サラゾピリン他)、5-アミノサリチル酸(5-ASA)製剤メサラジン(ペンタサ、アサコール、リアルダ)などを基本的な治療薬として選択し、さらに各種ステロイド製剤、免疫抑制剤、抗TNFα製剤などを使用する。

 潰瘍性大腸炎に適用を有する注腸剤としては、メサラジン注腸剤(ペンサタ他)、プレドニゾロン注腸剤(プレドネマ)、ベタメタゾン注腸剤(ステロネマ)が存在するものの、液剤のため肛門から漏れて下着に付いてしまう、注入の際に横になる必要がある、1回使い切りのためかさばるといった課題が指摘されていた。レクタブルは、1回プッシュで直腸からS状結腸に到達する泡状製剤(注腸フォーム製剤)である。泡状のため腸管内での薬液の保持性が高く、投与後に肛門から薬液が漏れにくい。さらに立位での注入が可能で、1缶で一週間(14回)使用することができる。

 潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患に使用されるステロイド剤の中でも、ブデソニドはグルココルチコイド受容体親和性が高く、局所で強力な抗炎症作用を発揮する。一方、肝臓での初回通過効果を受けやすいことから全身への作用は弱いという特徴がある。今回承認されたレクタブルは直接直腸に投与するため初回通過効果を回避することができる。現在、ブデソニドは、気管支喘息治療薬の吸入製剤(パルミコート)やクローン病治療薬の腸溶性徐放カプセル製剤(ゼンタコート)など広く臨床使用されている。

 国内での活動期潰瘍性大腸炎患者を対象として第3相二重盲検比較試験で、プラセボ群に比べて粘膜治癒率(内視鏡所見が正常または非活動性の被験者割合)の優越性が検証された。海外では、2006年イギリスをはじめとして、2014年の米国など、2017年3月までで世界36カ国で承認されている。

 国内臨床試験から、臨床検査値異常を含む副作用が54.3%に認められていることに十分注意する。主な副作用として血中コルチゾール減少(41.1%)、血中コルチコトロピン減少(35.4%)などが報告されている。

 なお、本薬がステロイド剤であり、長期投与における副腎皮質機能抑制などの全身作用の発現の可能性を否定できないことから、「投与中は患者の病態を十分観察し、投与開始6週間を目安に薬剤投与の必要性を検討し、漫然と投与を継続しないこと」にも留意する必要がある。