2017年9月27日、減感作療法薬の舌下投与用スギ花粉エキス原末製剤(商品名シダキュアスギ花粉舌下錠2000JAU、同スギ花粉舌下錠5000JAU)の製造販売が承認された。JAUとは日本アレルギー学会が提唱する国内独自のアレルゲン活性単位のことで、アレルゲンが7.3〜21μg/mL含まれるエキスを10000JAU/mLと表示する。

 適応は「スギ花粉症(減感作療法)」で、投与開始1週間は1日1回2000JAUを舌下に投与し、2週目以降は1日1回5000JAUに切り替える。いずれの場合も1分間舌下で保持した後に飲み込み、その後5分間はうがいや飲食を控えるよう指導する必要がある。また、スギ花粉飛散時期はスギ花粉アレルゲンに対する患者の過敏性が高まっている場合が多いことから、スギ花粉飛散時期は新たに投与を開始しないことにも注意する。

 スギ花粉症は、日本で代表的なアレルギー疾患である。抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬、ステロイド系薬などが対症療法として広く臨床現場で使用されており、長期寛解を目的とした特異的減感作療法(アレルゲン免疫療法)も行われている。

 アレルゲン免疫療法は、アレルギー疾患の原因であるアレルゲンを少量から投与する治療法であり、1911年より実施されている。アレルゲンを徐々に増量し、炎症反応を低下させることで疾患の進展を防ぐ。世界保健機構(WHO)においても、アレルゲン免疫療法は高い有用性があると評価している。しかし、このアレルゲン免疫療法は皮下注射による方法(SCIT)が中心であるため投与が煩雑であり、注射による疼痛、長期間に渡る定期的な通院など患者負担が大きく、さらにアナフィラキシーショックなどの重篤な副作用が問題となっていた。

 こうした問題点をクリアするために、皮下注射以外の方法が欧州を中心に検討され、1986年に舌下免疫療法(SLIT)が報告されて以後、数多くの臨床試験でSLITの有用性(有効性、安全性、使用性など)が確認されてきた。日本においても、2014年10月にスギ花粉症へのSLITとして標準化スギ花粉エキス原液製剤(シダトレン)が臨床使用されるようになった。

 原液製剤を用いたSLITが行われるようになり、より疾患治療に有用性は高くなったものの、12歳未満の小児に使用できないこと、冷所保存が必要なことなどの問題点も指摘されていた。

 今回承認されたシダキュアは、原液製剤シダトレンに比べて成人および小児(5歳以上)に使用可能であり、さらに室温保存が可能となった日本初のスギ花粉症に対するSLITの舌下錠製剤である。スギ花粉症患者(5〜64歳)を対象とした国内第2/3相臨床試験では、プラセボ群に比べて主要評価項目の「総合鼻症状薬物スコア」で有意差が認められ、有効性と安全性が確認された。

 国内臨床試験では50.3%に副作用が認められていることに十分注意する。主な副作用には口腔浮腫(14.4%)、咽頭刺激感(14.3%)、耳そう痒症(12.5%)などがあり、重大な副作用としてはショック、アナフィラキシーが報告されている。

 なお、既存のシダトレンと同様にショック、アナフィラキシー発現防止の観点から「減感作療法に十分精通した医師・医療機関のみに用いられ、調剤薬局においては、調剤前に該当医師・医療機関を確認してから調剤すること」が本薬の承認条件となっていることに留意する。