2017年8月25日、経口造血刺激薬エルトロンボパグ オラミン(商品名レボレード錠12.5mg、同錠25mg)の適応拡大が承認された。追加された適応は「再生不良性貧血」。抗胸腺細胞免疫グロブリンで未治療の場合と、既存治療で効果不十分な場合に使用できるが、それぞれ用法用量が異なることに注意する。前者の場合は抗胸腺細胞免疫グロブリンと併用し、エルトロンボパグとして75mgを1日1回投与する。後者の場合は1日1回投与で初回投与量25mgから開始するが、最大投与量100mgまでの範囲で適宜増減する。いずれの場合も食事の前後2時間を避けて空腹時に投与する。なお、本薬は「慢性特発性血小板減少性紫斑病」の適応で2010年12月から臨床使用されている(関連記事)。

 再生不良性貧血AA)は、骨髄にある造血幹細胞が減少して汎血球減少を生じる血液疾患である。厚生労働省から難病指定されており、国内における罹患患者数は約1万4000人(2013年)。女性の罹患率は男性に比べ1.16倍となっているが、男女ともに10〜20歳代と70〜80歳代に発症のピークがあるとされている。主な症状には労作時の息切れ、動悸、めまいなどの貧血症状と、皮下血斑、鼻出血や歯肉出血などがあり、進行すると骨髄異形成症候群や急性骨髄性白血病などの致死的な疾患に至る。

 従来からAAの治療には輸血療法、免疫抑制療法などが行われているが、根本的な治療のためには骨髄移植が必要とされている。兄弟姉妹間では4分の1の確率でヒト白血球抗原(HLA)の型が一致するため、そのようなHLA適合同胞ドナーを持つやや重症な40歳未満の患者においては、骨髄移植が第一選択となる。ただし40歳以上の患者では移植後の生存率が低いことから、免疫抑制療法が第一選択になっており、40歳以上の患者やドナーが得られない場合には抗胸腺細胞免疫グロブリン(サイモグロブリン)/シクロスポリン(ネオーラル他)の併用療法(ATG/CsA療法)が用いられている。しかし、ATG/CsA療法で効果不十分な症例も多く、その場合は輸血療法が中心となるが、輸血の際には感染症や血小板輸血に対する不応性などのリスクが伴うことから、新しい代替療法が必要とされていた。

 エルトロンボパグ オラミンは世界初となる経口の低分子トロンボポエチン受容体(TPO-R)作動薬として「慢性特発性血小板減少性紫斑病」の治療に使用されてきた。エルトロンボパグの作用機序としては、TPO-Rとの特異的な相互作用を介して、トロンボポエチン(TPO)のシグナル伝達経路の一部を活性化することにより巨核球および骨髄前駆細胞の増殖および分化を促進させ、結果として多系統の血球増加を導く薬剤である。汎血球の増加が見込めるため、AAにも有効と考えられていた。

 既存治療で効果不十分なAA患者を対象とした国内第2/3相試験(E1201試験)、抗胸腺細胞免疫グロブリンで未治療のAA患者を対象とした国内第2/3相試験(E1202試験)で本薬の有効性と安全性が確認された。海外では70カ国以上(2017年8月時点)で承認されているが、AAの適応としては米国(2014年8月)と欧州(2015年9月)での承認にとどまっている。

 国内臨床試験で臨床検査値異常を含む副作用が認められていることに注意する。主な副作用として筋肉痛、悪心、血中ALP増加、血中ビリルビン増加、肝機能異常などがあり、重大な副作用としては肝機能障害、血栓塞栓症、出血、骨髄線維化が報告されている。