2017年7月3日、鉄キレート剤デフェラシロクス(商品名ジャドニュ顆粒分包90mg、同360mg)の製造販売が承認された。適応は「輸血による慢性鉄過剰症(注射用鉄キレート剤治療が不適当な場合)」。1日1回12mg/kgを経口投与し、患者の状態により適宜増減するが、1日量は18mg/kgを超えないこととなっている。なお、同一成分の懸濁用製剤(エクジェイド)が同じ適応で2008年6月から使用されている。

 再生不良性貧血AA)や骨髄異形成症候群MDS)などの難治性貧血では、赤血球の輸血を繰り返し必要とする。その結果、体内に過剰な鉄が蓄積して慢性の鉄過剰症を発症することがある。人体には鉄を効率よく排泄する機能がないため、鉄が除去されない場合は心不全、肝障害などの不可逆的な臓器障害などが生じる。

 鉄の除去治療としては、従来より鉄キレート作用のあるデフェロキサミン(デスフェラール)の注射製剤が使用されていた。しかし、連日投与を行わないと十分な治療効果が得られず、外来患者では外来受診時や輸血時だけの投与となり効果が不十分な場合も少なくない。また、投与対象となるAAやMDS患者の多くが血小板減少や白血球減少などを伴うため、注射による出血や感染症のリスクも問題になることもあり、治療継続に大きな障害となっていた。

 2008年より使用されているデフェラシロクスの経口製剤エクジェイドは、注射の必要はなく、錠剤を水に溶かして服用するため、患者の利便性が高いと評価されている。また、デフェラシロクスは、銅や亜鉛などの2価の金属に比し、3価の鉄に高い親和性を示すキレート薬であり、用量依存的な鉄排泄効果があり、半減期が10〜20時間程度と長く、1日1回の投与で済むことなどが特徴である。しかし、エクジェイドの服用には水で懸濁する手間がかかり、さらに懸濁溶液の食味の悪さなどで継続的な服用が難しいという課題も指摘されていた。

 ジャドニュは、水に懸濁する必要がなく、かつ無味無臭のため既存の懸濁用製剤に比べて服用しやすい顆粒製剤である。懸濁用製剤との生物学的同等性試験の結果、ジャドニュ900mgと懸濁用製剤1500mgは生物学的に同等であり、加えてバイオアベイラビリティは食事の影響を受けないため食事の摂取に関わらず服用が可能となっている。懸濁用製剤では、食事の影響を受けることから空腹時の服用が必要だった。

 服用に際しては、既存の懸濁用製剤の臨床試験において、臨床検査値異常を含む副作用が認められていることに十分注意する。主な副作用は下痢、悪心、嘔吐、腹痛、血中クレアチニン増加などがあり、重大な副作用としてはショック、アナフィラキシー、急性腎障害、腎尿細管障害、肝炎、肝不全、消化管穿孔、胃潰瘍(多発性潰瘍を含む)、十二指腸潰瘍、胃腸出血、皮膚粘膜眼症候群、多形紅斑、聴力障害(難聴)、水晶体混濁(初期の白内障)、視神経炎が報告されている。