2017年7月3日、抗悪性腫瘍薬プララトレキサート(商品名ジフォルタ注射液20mg)の製造販売が承認された。適応は「再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫」。1日1回30mg/m2(体表面積)を3〜5分間かけて、週1回静注する。6週連続で投与し、7週目は休薬する。これを1サイクルとして投与を繰り返す。また、患者の状態により適宜減量する。

 末梢性T細胞リンパ腫PTCL)は、リンパ球の中のT細胞から発生する非ホジキンリンパ腫であり、月単位で疾病が進行する「中悪性度」に分類されている。PTCLは中悪性度リンパ腫の10〜15%を占めており、進行期(3期、4期)になってから発見されることが多く、リンパ節の腫脹と全身症状としてB症状(発熱、大量の寝汗、体重減少など)が認められる。

 PTCLの一次治療としては、CHOP療法(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾロンの多剤併用療法)が用いられており、局所的に放射線療法も行われる。しかし、これらの治療効果は必ずしも良好とは言えない現状がある。

 現在、PTCLの二次治療としては、PTCLの細胞表面マーカーとして確認されているCCR4陽性症例に対してモガムリズマブ(ポテリジオ)、CD30抗原陽性症例にはブレンツキシマブベドチン(アドセトリス)の注射製剤、2017年5月よりヒトT細胞の増殖に関与するプリンヌクレオシドホスホリラーゼ(PNP)の経口阻害薬フォロデシン(ムンデシン)が臨床使用されるようになった。さらに、プララトレキサートと同じく2017年7月には、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)のアイソフォームを広く阻害するロミデプシン(イストダックス)の注射製剤が承認された。現状では二次治療以降の標準治療は確立されていないが、治療選択肢が増えてきたと言える。

 プララトレキサートは、悪性リンパ腫・肉腫、乳癌等の悪性腫瘍に有効な葉酸代謝拮抗薬メトトレキサート(メソトレキセート他)の構造類似体である。腫瘍細胞のDNA合成には活性型葉酸が必要になるが、プララトレキサートは葉酸を活性型葉酸に変化させるジヒドロ葉酸還元酵素を競合的に阻害することで、腫瘍細胞のDNA合成を阻害する。また、本薬は還元型葉酸キャリア-1(REC-1)を介して速やかに細胞内に取り込まれ、長く滞留するように改良された薬剤である。

 再発または難治性のPTCL患者を対象とした海外第2相臨床試験および国内第1/2相臨床試験から有効性と安全性が確認された。また、海外のがん診療ガイドラインであるNCCNガイドラインでは、プララトレキサートはPTCLに対する選択肢の1つとして推奨されている。海外では、2009年9月に米国で承認されて以降、2017年6月までで、世界17カ国で承認されている。日本では、2014年2月に希少疾病用医薬品に指定されていた。 

 国内第1/2相臨床試験から臨床検査値異常を含む副作用が全症例に認められていることに十分注意する必要がある。主なものとして口内炎(84.0%)、血小板減少症(64.0%)、ALT増加、ヘモグロビン減少を含む貧血(各60.0%)などであり、重大なものは口内炎、骨髄抑制、感染症、重度の皮膚障害、腫瘍崩壊症候群、間質性肺疾患が報告されている。