2017年7月3日、高脂血症治療薬ペマフィブラート(商品名パルモディア錠0.1mg)の製造販売が承認された。適応は「高脂血症(家族性を含む)」で、1回0.1mgを1日2回朝夕に投与する。なお、年齢や症状に応じて適宜増減するが、最大用量は1回0.2mgを1日2回までとなっている。

 動脈硬化の発症・進展は多様なリスク因子の重なりによって引き起こされているが、リスク因子の中でも、特に脂質異常症高脂血症)は動脈硬化進展の最も重要な因子の1つとされている。そして、進展の最終的な段階である心筋梗塞など動脈硬化性疾患は日本人の主要な死亡原因として位置付けられている。

 現在、脂質異常症では、LDL-C高値に対してアトルバスタチン(リピトール他)などのHMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)、コレスチラミン(クエストラン)などの陰イオン交換樹脂(レジン)が使用されている他、小腸コレステロールトランスポーター阻害薬であるエゼチミブ(ゼチーア)、胆汁酸変換促進薬であるプロブコール(シンレスタール、ロレルコ他)なども用いられている。

 近年になりエボロクマブ(レパーサ)などのLDL受容体の分解にかかわる前駆蛋白質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)に対するヒト型阻害モノクローナル抗体の注射薬も可能となっている。またホモ接合性家族性高コレステロール血症に限定されるが、ミクロソームトリグリセライド転送蛋白質阻害薬のロミタピド(ジャクスタピッド)も登場した。一方、トリグリセライド(TG)高値に対してはフィブラート系薬を中心に、ニコチン酸誘導体、イコサペント酸エチル・ω-3脂肪酸製剤(EPA/DHA)などが用いられている。

 動脈硬化性疾患の発症・進展を防止するため、脂質異常症の早期治療が行われている。また、心筋梗塞などの心血管イベントのリスク軽減にはスタチンでLDL-Cの是正とともに、TGなどの脂質異常の是正も重要とされており、中でもフィブラート系薬は単独療法およびスタチン併用療法において有用性が高いと報告されている。

 ペマフィブラートは、既存のフェノフィブラート(リピディル、トライコア他)と同じく、肝臓などで発現している核内受容体(蛋白質)のペルオキシソーム増殖剤活性化レセプターα(peroxisome proliferator-activated receptor α[PPARα])を活性化するフィブラート系薬である。ペルオキシソームが活性化されることで、TGを加水分解する。しかし、ペマフィブラートは他のフェノフィブラート系薬と作用機序は同じであるものの、既存の薬剤とは異なり選択的にPPARαに結合した後、リガンド特異的なPPARαの立体構造変化をもたらすことが分かっている。立体構造変化によって、主に肝臓の脂質代謝に関わる遺伝子群の発現を選択的に調節することで脂質代謝を改善する。この特徴から、ペマフィブラートは選択的PPARαモジュレーター(selective PPAR-α modulator[SPPARMα])とも呼ばれている。

 各種臨床試験(用量探索的試験、フェノフィブラートとの比較検証試験、TG高値を示す脂質異常症患者、2型糖尿病を合併した脂質異常症患者を対象とした長期投与試験)において、TG低下作用などの有用性が認められ、フェノフィブラートに対する非劣性が確認された。なお、ペマフィブラートは日本で開発された薬剤であり、2017年7月時点で海外では承認されていない。

 臨床試験において副作用が14.5%に認められていることに注意する。主な副作用としては胆石症、糖尿病(各1.4%)、CK(CPK)上昇(0.8%)などがある。また、本剤における報告はないものの、他のフェノフィブラート系薬で報告されていることから、重大な副作用として横紋筋融解症が注意喚起されている。