2017年7月3日、抗悪性腫瘍薬ロミデプシン(商品名イストダックス点滴静注用10mg)の製造販売が承認された。適応は「再発または難治性の末梢性T細胞リンパ腫」。14mg/m2(体表面積)を1、8、15日目に4時間かけて点滴静注しその後、休薬する(16〜28日目)。この28日間を1サイクルとして投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。

 末梢性T細胞リンパ腫PTCL)は、リンパ球の中のT細胞から発生する非ホジキンリンパ腫であり、月単位で疾病が進行する「中悪性度」に分類されている。PTCLは中悪性度リンパ腫の10〜15%を占めており、進行期(3期、4期)になってから発見されることが多く、リンパ節の腫脹と全身症状としてB症状(発熱、大量の寝汗、体重減少など)が認められる。

 PTCLの一次治療としては、CHOP療法(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾロンの多剤併用療法)が用いられており、局所的に放射線療法も行われる。しかし、これらの療法においても治療効果は必ずしも良好とは言えず、二次治療以降の標準治療は確立されていないのが現状である。

 現在、PTCLの二次治療としては、PTCLの細胞表面マーカーとして確認されているCCR4陽性症例に対してモガムリズマブ(ポテリジオ)、CD30抗原陽性症例にはブレンツキシマブベドチン(アドセトリス)の注射製剤、2017年5月よりヒトT細胞の増殖に関与するプリンヌクレオシドホスホリラーゼ(PNP)の経口阻害薬フォロデシン(ムンデシン)が臨床使用されている。

 ロミデプシンは、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)のアイソフォームを広く阻害することで、癌の細胞周期の停止や細胞死が誘導され、抗腫瘍作用を発揮すると考えられている。HDAC阻害薬として、既に本薬以外にも皮膚T細胞性リンパ腫の適応でボリノスタット(ゾリンザ)、再発または難治性の多発性骨髄腫の適応でパノビノスタット(ファリーダック)が臨床使用されているが、ロミデプシンはPTCL治療薬として初のHDAC阻害薬となっている。

 再発または難治性のPTCL患者を対象とした国内第1/2相臨床試験でロミデプシンの有効性および安全性が確認された。海外においては、PTCL治療薬として2011年に米国で承認されて以来、2017年3月までで、米国、韓国、オーストラリア、カナダ、イスラエルを含む5カ国で承認されている。日本では、2016年8月に希少疾病用医薬品の指定を受けている。

 薬剤使用に際しては、上記の国内臨床試験において臨床検査値異常を含む副作用が全症例に認められていることに十分注意する必要がある。主な副作用としては血小板減少症(97.9%)、リンパ球減少症(83.3%)、白血球減少症、好中球減少症(各81.3%)などがあり、重大な副作用は骨髄抑制、感染症、QT間隔延長、腫瘍崩壊症候群、過敏症が報告されている。