2017年7月3日、関節リウマチ治療薬バリシチニブ(商品名オルミエント錠4mg、同錠2mg)の製造販売が承認された。適応は「既存治療で効果不十分な関節リウマチ(関節の構造的損傷の防止を含む)」で、1日1回4mgを成人に経口投与する。なお、患者の状態に応じて2mgに減量する。

 関節リウマチRA)は慢性の炎症性自己免疫疾患で、日本では約70〜80万人、世界には約2000万人以上の患者がいると推測されている。RAの症状は手と足に現れることが典型的だが、滑膜のある関節では発症する可能性がある。

 RAの薬物治療としては、従来から非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)やステロイドなどによる対症療法が行われてきたが、近年、初期段階からメトトレキサート(MTX)をはじめとする疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARDs)が使用されるようになってきている。さらに、これらの治療で不十分な患者にはヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬のトファシチニブ(ゼルヤンツ)などの低分子標的薬、生物学的製剤のエタネルセプト(エンブレル)などの抗ヒト腫瘍壊死因子薬(TNFα阻害薬)、トシリズマブ(アクテムラ)のサイトカイン阻害薬(IL-6受容体阻害薬など)などが使用されている。

 バリシチニブは、トファシチニブと同じJAK阻害薬で、細胞内に存在するチロシンキナーゼの一種であるJAKを阻害することで炎症を抑制する。一般的にJAKは、RAにおける炎症性サイトカインなどの産生に深く関与しており、JAK阻害薬は細胞内のシグナル伝達回路(JAK Pathway)を阻害することで、抗炎症作用を発揮する。JAKには、4種類のサブタイプ(JAK1、JAK2、JAK3、TYK2)があり、各サイトカイン受容体に会合しているJAKの種類は、サイトカインによって異なることが認められている。

 中等度から重度の活動性RA患者を対象とした国際共同第3相比較試験[RA-BEAM(JADV)試験、RA-BEGIN(JADZ)試験、RA-BUILD(JADX)試験およびRA-BEACON(JADW)試験]およびそれらの併合解析結果、並びに長期投与継続試験(JADY試験)により、バリシチニブの有効性と安全性が、長期投与時を含めて確認された。既存のトファシチニブは、JAK1、JAK2、JAK3 を阻害し、TYK2 も軽度に阻害するが、バリシチニブはJAK1、JAK2に高い選択性を有するJAK阻害薬である。しかし、現時点まで、両薬剤の臨床効果を比較した報告はない。

 海外において、バリシチニブは欧州をはじめとして、2017年6月までで、世界31の国と地域で承認されている。

 RA患者を対象とした国内外臨床試験(第2相および第3相試験)では、主な有害事象が41.5%に認められていることに十分注意する。主なものは上気道感染(9.7%)、帯状疱疹(3.9%)などであり、臨床検査値異常にはLDLコレステロール上昇(43.2%)などがある。また、重大な副作用としては感染症、消化管穿孔、好中球減少、リンパ球減少、ヘモグロビン減少、肝機能障害、黄疸、間質性肺炎が報告されている。