2017年6月8日、疼痛治療薬プレガバリンの口腔内崩壊製剤(商品名リリカOD錠25mg、同OD錠75mg、同OD錠150mg)が発売された。適応は「神経障害性疼痛、線維筋痛症に伴う疼痛」。成人に対し初期用量1日150mgを2回に分けて投与し、その後1週間以上かけて1日用量300mgまで漸増する。1日最高用量は神経障害性疼痛で600mg、線維筋痛症で450mgとなっている。この場合も、1日2回に分けて投与する。

 なお、同一成分で同じ適応および用法用量を有したカプセル製剤は2010年4月に製造承認を取得し、同年6月から臨床使用されていた(関連記事)。プレガバリンは2010年6月に「帯状疱疹後神経痛」の適応で発売され、同年10月に「末梢性神経障害性疼痛」の追加適応、2012年6月に「線維筋痛症に伴う疼痛」の追加適応の承認を取得している。さらに2013年2月には、中枢性・末梢性の区別なく「神経障害性疼痛」に使用できるようになった。

 国際疼痛学会(IASP)は神経障害性疼痛を「体性感覚系に対する損傷や疾患の直接的結果として生じている疼痛」と定義している。具体的には知覚異常を伴い、難治性の痛みが生じる疾患である。病態や発症機序が多彩であり、非ステロイド性抗炎症薬などの鎮痛薬の効果はほとんど期待できない。また、神経障害性疼痛は、帯状疱疹後神経痛、有痛性糖尿病性神経障害、三叉神経痛などの末梢性と、脳卒中後疼痛などの中枢性に大別される。

 線維筋痛症は中年以降の女性に好発する原因不明の疾患で、全身の関節や筋肉などに慢性の疼痛を生じる。米国リウマチ学会(ACR)の診断基準が国内外で使用されており、同基準によると、3カ月以上持続する広範囲の疼痛の既往歴があり、全身18カ所を指圧する疼痛検査を行い、11カ所以上で疼痛を感じた場合に線維筋痛症と判断することになっている。

 これら神経痛への治療としては、コデインリン酸塩や三環系抗うつ薬を用いた薬物療法、局所麻酔による交感神経ブロック療法などが従来から行われていたが、副作用などの問題から十分な除痛に至らない症例も多かった。

 プレガバリンは、既存の疼痛治療薬と異なる作用機序を有する薬剤である。構造的に抗てんかん薬ガバペンチン(ガバペン)に類似しており、主に神経系に分布するカルシウムイオンチャネルのα2δサブユニットに結合する。この結合によって各種神経伝達物質の放出を抑制し、過剰に興奮した神経系を沈静化して鎮痛作用を発揮すると考えられている。現在、国際疼痛学会をはじめとする主要学会において、神経障害性疼痛の第一選択薬に推奨されている。

 今回新たに発売されたプレガバリンの口腔内崩壊錠は、高齢化に伴って急増している高齢者の疼痛患者の利便性向上を目指して開発された製剤であり、特に嚥下機能が低下した患者などで有用性が高いと考えられる。また、既存のカプセル製剤との生物学的同等性も確認されている。日本で初めに発売された剤型であり、2017年1月時点で、プレガバリンの口腔内崩壊錠は海外未発売となっている。

 適応疾患によって出現頻度は異なるものの、国内外の臨床試験において、傾眠、浮動性めまい、浮腫などの副作用(臨床検査値異常を含む)が認められていることにも注意が必要である。また、重大な副作用としては、めまい、傾眠、意識消失、心不全、肺水腫、意識消失、横紋筋融解症、腎不全、血管浮腫、低血糖、間質性肺炎、ショック、アナフィラキシー、皮膚粘膜眼症候群、多形紅斑、劇症肝炎、肝機能障害が報告されている。