2017年6月15日、吸入ステロイド喘息治療薬フルチカゾンフランカルボン酸エステル(商品名アニュイティ100μgエリプタ30吸入用、同200μgエリプタ30吸入用)が発売された。本製剤は、3月30日に製造販売が承認され、5月31日に薬価収載されていた。適応は「気管支喘息」。成人に1 日1回100μgを吸入する。なお、症状に応じて1日1回200μgの吸引に切り替える。

アニュイティ100ugエリプタ30吸入用

 日本では、フルチカゾンフランカルボン酸エステル(FF)の製剤として、既に複数の薬剤が臨床使用されている。2009年6月からは点鼻液製剤(アラミスト)がアレルギー性鼻炎治療薬として使用されており、気管支喘息治療薬としてはβ2刺激薬との配合剤であるビランテロール・フルチカゾン(レルベア)がある。また、FF以外にもプロピオン酸エステル(FP)製剤(フルタイドなど)が広く使用されている。

 一般的に、気管支喘息の治療・管理では、気道炎症と気流制限を引き起こす因子を回避・除去し、薬物療法により気道過敏性と気流制限を軽減・寛解することが目標とされている。喘息の薬物療法では、長期管理薬としての吸入ステロイド薬(ICS)と発作治療薬の短時間作用性吸入β刺激薬(SABA)を中心に行うことが基本とされている。また、気管支喘息は長期管理が必要な慢性疾患であることから、「喘息予防・管理ガイドライン2015」では、慢性気道炎症に関与する多彩な細胞に広く作用するICSが第一選択薬として位置付けられている。

 ステロイドは、細胞質内のグルココルチコイド受容体に結合し、複合体を形成し活性化することで効果を発揮する。受容体複合体は核内へ移行し、DNA上のグルココルチコイド応答性エレメントに結合し、標的となる遺伝子転写を促進または抑制する。その結果、炎症に関与するケミカルメディエータやサイトカインなどの産生を遺伝子レベルで調節し、抗炎症作用を発揮する。

 1日1回吸入のFF製剤は、1日2回吸入が必要なFP製剤と比較して、同等以上の有効性および安全性を有し、かつ抗炎症作用の持続時間が長いことが確認されている。FF製剤であるアニュイティは、1日1回の使用で効果が持続するため、FP製剤や他のICS製剤と比較してコンプライアンスの向上に貢献すると考えられる。また、アニュイティの専用デバイス(エリプタ)は、既存の吸入薬(レルベア、エンクラッセ、アノーロ)にも使用されている。人間工学に基づいて設計された「横押し式」で、1アクションでの操作が可能な使いやすいデバイスとなっている。

 アニュイティは海外において、2014年8月の米国をはじめとして、複数の国や地域で承認されている。

 国内外の臨床試験(計9試験)で、臨床検査値異常を含む副作用が6.1%に認められていることに注意する。主な副作用には、口腔カンジダ症(1.0%)、頭痛、中咽頭カンジダ症、発声障害(それぞれ0.7%)があり、重大な副作用としてはアナフィラキシー反応(咽頭浮腫、気管支痙攣等)が報告されている。

 なお、口腔咽頭カンジダ症や嗄声の予防のため、本剤吸入後はうがいを実施するよう患者を指導することに注意する。ただし、うがいが困難な患者には、うがいではなく、口腔内をすすぐよう指導するとなっている。