2017年5月24日、ヒト型抗ヒトIL-12/23p40モノクローナル抗体ウステキヌマブ(商品名ステラーラ点滴静注130mg)が薬価収載と同時に発売された。適応は「中等症から重症の活動期クローン病の導入療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)」。導入の初回に患者の体重に合わせて、260mg、390mg、520mgを単回点滴静注する。また、本薬の初回投与後の8週後から始まる維持療法については、2011年3月より臨床使用されている既存のウステキヌマブ皮下用の45mg製剤(ステラーラ皮下注45mgシリンジ)を使用する。この皮下用の45mg製剤は乾癬治療薬として使用されていたが、今回、点滴静注用の130mg製剤の承認とともに「中等症から重症の活動期クローン病の維持療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)」の適応が追加された。

 クローン病CD)は、消化管粘膜に多発する黄ないし白色斑の浅い潰瘍(アフタ様潰瘍)から始まり、縦走潰瘍、敷石像、線維化を伴う病変に進展し、口腔から肛門までの全消化管が非連続的に、全層にわたって侵される肉芽腫性炎症性疾患である。臨床症状としては、下痢、腹痛、血便・下血、肛門病変、外瘻などの消化器症状をはじめ、発熱、倦怠感、栄養障害などの全身症状とともに、貧血や関節炎などの合併症に由来する症状も呈する。そして再燃・再発を繰り返しながら進行する。

 日本におけるCDの診断基準・治療指針では、重症度に応じた治療法が選択されており、軽症の活動期CDではメサラジン(アサコール、ペンタサ他)製剤、軽症から中等症ではブデソニド(ゼンタコート)などのステロイド製剤、既存治療で効果不十分な中等症から重症の活動期CDに対しては、抗TNFαモノクローナル抗体製剤アダリムマブ(ヒュミラ)、インフリキシマブ(レミケード他)の生物学的製剤が使用されている。また活動期に対する治療により寛解が導入されれば、寛解を長期維持するための維持療法が行われる。生物学的製剤で寛解が導入された場合、その生物学的製剤の定期投与が寛解維持に有効とされている。

 ウステキヌマブはアダリムマブやインフリキシマブなどと作用機序が異なる生物学的製剤である。具体的にはヒトインターロイキン(IL)-12およびIL-23が共有するサブユニット(IL‐12/23p40)に高い親和性で結合し、IL-12およびIL-23が免疫細胞表面の受容体複合体に結合するのを阻止して生物活性を中和する。CDに対する研究などから、CD患者では腸の抗原提示細胞によるIL-12およびIL-23の分泌が増加しており、ヒトのCDの病態に類似した特性を示す大腸炎モデルマウスに対して抗IL‐12/23p40抗体を投与すると有効性が認められることが分かっている。IL‐12/23p40に対するヒト免疫グロブリンG1κモノクローナル抗体としては日本初となっている。

 中等症から重症の活動期の日本人を含むCD患者を対象とした国際共同第3相臨床試験では、導入療法(静脈内投与)ならびに維持療法(皮下投与)における有効性・安全性が確認されている。海外においては、CDの適応で静注および皮下製剤が2016年9月に米国で、2016年11月に欧州で承認されている。

 国際共同第3相臨床試験では、副作用が20.0%に認められていることに注意する。主な副作用としては頭痛(3.1%)、悪心(1.5%)、上気道感染(1.3%)、鼻咽頭炎、疲労、嘔吐(それぞれ1.2%)などがあり、重大な副作用はアナフィラキシー、重篤な感染症、結核、間質性肺炎が報告されている。

 導入期には静注製剤、その後の維持療法には皮下製剤を使用するため、混乱を生じないよう使い分けについて十分理解しておく必要がある。