2017年3月30日、抗悪性腫瘍薬アフリベルセプト ベータ(商品名ザルトラップ点滴静注100mg、同点滴静注200mg)の製造販売が承認された。適応は「治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌」。イリノテカン塩酸塩水和物、レボホリナートおよびフルオロウラシル(FOLFIRI療法)との併用において、2週間に1回4mg/kgを60分かけて点滴静注する。なお、患者の状態に合わせて適宜減量する。

 結腸直腸癌は国内の患者数が最も多い癌であり、癌検診の普及に伴って今後も増加すると予測されている。また現在、オキサリプラチン(エルプラット他)を含む化学療法後の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌に対する治療としては、イリノテカンを含む化学療法に加えて、血管内皮増殖因子(VEGF)阻害薬であるベバシズマブ(アバスチン)・ラムシルマブ(サイラムザ)、上皮細胞増殖因子(EGFR)阻害薬であるセツキシマブ(アービタックス)・パニツムマブ(ベクティビックス)などの分子標的薬が併用されている。

 アフリベルセプトは、VEGF阻害薬に分類される。VEGF受容体1の第2免疫グロブリン(Ig)様C2ドメインおよびヒトVEGF受容体2の第3Ig様C2ドメインを、ヒトIgG1のFcドメインに融合した組換え蛋白質であり、VEGF-A、VEGF-BおよびVEGFファミリーに属する胎盤増殖因子(PIGF)とVEGF受容体との結合を阻害することで、腫瘍における血管新生を阻害し、腫瘍増殖抑制作用を発揮すると考えられている。

 アフリベルセプトとしては、2012年11月から眼科用製剤(アイリーア)が「中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性」「病的近視における脈絡膜新生血管」「網膜静脈閉塞症における黄斑浮腫」「糖尿病黄斑浮腫」の適用で臨床使用されている。アイリーアもザルトラップも同じ会社から創製されたアフリベルセプトを原薬としているが、眼科領域と抗癌剤領域でパートナー会社が異なり原薬の同一性が証明できないことから、ザルトラップについてはアフリベルセプト ベータとして区別している。また、結腸・直腸癌における既存のVEGF阻害薬はヒト化モノクローナル抗体であるのに対して、アフリベルセプトは組換え融合蛋白質であるという相違がある。

 転移性結腸・直腸癌患者を対象とした海外第3相臨床試験(VELOUR試験)において、アフリベルセプトの有効性が確認されている。オキサリプラチン主体の一次治療後の二次治療として、FOLFIRI療法と併用して用いると、全生存期間が延長することが確認された最初のVEGF阻害薬である。

 海外においては、2012年8月の米国、2013年2月のEUをはじめとして、2017年3月までで、世界70以上の国または地域で承認されている。日本では、日本人患者での国内第2相臨床試験において、海外臨床試験と同様に本剤の効果が期待できることが確認されている。

 国内臨床試験から全症例で副作用が認められていることに十分注意する必要が必要である。主な副作用には好中球減少症(77.4%)、食欲減退(74.2%)、下痢(67.7%)、疲労(61.3%)、悪心(58.1%)などがあり、重大な副作用としては出血、消化管穿孔、瘻孔、高血圧、高血圧クリーゼなどが報告されている。薬剤使用に際しては、事前に最新の添付文書にて確認することが肝要である。