2017年4月21日、女性ホルモン製剤のドロスピレノンエチニルエストラジオール(商品名ヤーズフレックス配合錠)が発売された。本薬は、2016年12月19日に製造販売を取得しており、今年2月15日に薬価収載されている。適応は「子宮内膜症に伴う疼痛の改善、月経困難症」。1日1回1錠を経口投与する。24日目までは出血の有無にかかわらず連続投与するが、25日目以降に3日間連続して点状出血を含む出血が認められた場合は、4日間休薬する。また、連続投与が120日目に達した場合も、同様に4日間休薬する。これらを1サイクルとして、以後同様に連続投与と休薬を繰り返す。次サイクルは、休薬後に出血が終わっているか否かに関わらず開始する。

 子宮内膜症は、子宮内膜またはその類似組織が子宮外に異所性に存在することにより生じ、月経痛、月経以外の下腹痛、腰痛、性交痛などの疼痛を引き起こす。子宮内膜症に対する薬物療法としては、手術療法および非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、卵巣機能抑制および子宮内膜増殖抑制作用を持つ低用量エストロゲン・プロゲスチン(LEP)製剤などの内分泌療法が治療選択肢として推奨されているが、日本において子宮内膜症の適応を有するLEP製剤は無かった。

 月経困難症は、月経に随伴して起こる下腹痛、腰痛、腹部膨満感、悪心、頭痛、脱力感などの病的症状である。子宮内膜症など骨盤内に器質性病変のある「器質性月経困難症」(続発性月経困難症)と、子宮内膜に増加したプロスタグランジンの関与が考えられる「機能性月経困難症」(原発性月経困難症)に大別される。治療には、従来から女性ホルモンの中用量製剤(ソフィア、プラノバール、ルテジオンなど)が使用されてきたが、ここ10年で黄体ホルモン剤のドロスピレノンと卵胞ホルモン剤のエチニルエストラジオールを配合したヤーズ配合錠などの低用量製剤も使用可能になっている。このヤーズ配合錠は、実薬24錠とプラセボ4錠からなる1サイクル1シート包装で「月経困難症」の適応を有し、2010年11月より臨床使用されている。

 ヤーズフレックスは、既存のヤーズ配合錠と同成分・含量を有する実薬28錠を1シートとしたLEP製剤である。しかし、1サイクルの日数がヤーズ配合錠は28日(実薬24日とプラセボ4日)であるのに対し、ヤーズフレックスは最大124日(実薬120日と休薬4日)と長期間になっている。ヤーズ配合錠などのLEP製剤では、1サイクルの投与期間を28日よりも延長することにより、消退出血が軽減すると期待されている。そのため海外では、ヤーズ配合錠においても28日以上を1サイクルとする用法用量が汎用されており、ヤーズフレックスはそのような状況に応える形で発売された。服薬中は月経を抑えられるので、1年間の月経を数回にするなど、患者が自身で月経のタイミングをコントロールすることが可能になっている。

 ヤーズフレックスは、国内第3相試験にて有効性および安全性が確認されている。同試験は2012年からは子宮内膜症患者を対象に、2013年からは月経困難症患者を対象に行われた。2016年7月までで、オーストラリア、ドイツ、コロンビア、チリおよびロシアの5カ国で販売されている。 

 薬剤使用に際しては、国内第3相臨床試験から臨床検査値異常を含む副作用が66.8%に認められていることに十分注意する。主な副作用は、性器出血(28.6%)、プラスミノーゲン上昇(16.8%)、不規則な子宮出血(12.7%)、悪心(10.1%)などであり、重大な副作用としては血栓症が報告されている。