2017年3月22日、便秘型過敏性腸症候群治療薬リナクロチド(商品名リンゼス錠0.25mg)が発売された。本薬は、2016年12月19日に製造販売が承認され、2月15日に薬価収載されている。1日1回食前に0.5mgを投与し、症状に合わせて0.25mgに減量する。

 過敏性腸症候群IBS)は、器質的疾患を伴わず、腹痛あるいは腹部不快感とそれに関連する便通異常が慢性もしくは再発性に持続する機能性消化管疾患である。IBSは、便形状に基づくRomeIV基準により、便秘型IBS(IBS-C)、下痢型IBS(IBS-D)、混合型IBS(IBS-M)、分類不能型IBS(IBS-U)の4つのサブタイプに分類される。IBSは致死的な疾患ではないが、IBSの有病率は10〜20%と非常に高く、症状により日常生活が制限されることでQOLが著しく低下する。このため、IBSの早期診断・治療が必要となっている。

 IBSの治療としては、食生活を含めた生活習慣改善と並行して、症状の改善が認められない患者に薬物治療を考慮することとなっている。治療薬としては、トリメブチンマレイン酸塩(セレキノン他)などの消化管機能調節薬、プロバイオティクスとしての乳酸菌製剤(ミヤBM他)、高分子重合体のポリカルボフィルカルシウム(コロネル、ポリフル他)、粘膜上皮機能変容薬のルビプロストン(アミティーザ)などがあり、さらにIBS-Cにおいて改善がなければ酸化マグネシウム(マグミット他)などの塩類下剤などが臨床使用されている。

 リナクロチドは、既存の薬剤とは異なった新しい作用機序を示す14個のアミノ酸からなるグアニル酸シクラーゼC(GC-C)受容体作動薬である。腸管の管腔表面のGC-C受容体を活性化させることにより、細胞内のcGMP濃度を増加させ、腸管分泌促進作用、小腸輸送能促進作用、大腸痛覚過敏改善作用を示す。

 国内でのIBS-C患者を対象とした第3相プラセボ対照二重盲検並行群間比較試験および、その後の長期投与試験(計52週)では、リナクロチドの有効性および安全性が確認されている。海外では、2016年8月までで、米国、EUなど世界6つの国と地域で承認されている。

 薬剤使用に際しては、国内臨床試験から臨床検査値異常を含む副作用が21.5%に認められていることに十分注意する。主な副作用は下痢(13.0%)などであり、重大な副作用としは重度の下痢が報告されている。