2017年2月22日、CXCR4ケモカイン受容体拮抗薬プレリキサホル(商品名モゾビル皮下注24mg)が発売された。本薬は、2016年12月19日に製造販売が承認され、2月15日に薬価収載されている。適応は「自家末梢血幹細胞移植のための造血幹細胞の末梢血中への動員促進」。本剤は顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)製剤と併用使用し、1日1回0.24mg/kgを、末梢血幹細胞採取終了時まで成人に連日皮下投与する。なお、G-CSF製剤を4日間連日投与した後、末梢血幹細胞採取の実施9〜12時間前に本剤を投与する。

 多発性骨髄腫MM)、非ホジキンリンパ腫NHL)、ホジキンリンパ腫HL)などの治療においては、シクロホスファミド(エンドキサン他)などを用いた骨髄抑制または骨髄破壊を行い、その後に骨髄の再構築を目的として患者自身の細胞由来である造血幹細胞の移植が行われる。自家移植では、移植する造血幹細胞の採取が簡便で、腫瘍細胞混入の可能性が低い末梢血幹細胞が優先されている。

 現在、MMおよびNHLなどの患者に対する自家末梢血幹細胞採取には、フィルグラスチム(グラン他)やレノグラスチム(ノイトロジン)などのG-CSF製剤が使用されている。しかし、G-CSF単独では十分に末梢血幹細胞を得ることができない動員不良患者も存在し、また動員が良好な患者であっても目標の細胞数達成までに頻回のアフェレーシスを行う必要があることから、患者負担の大きい課題があった。

 造血幹細胞の細胞膜上にはCXCケモカイン受容体4(CXCR4)が発現しており、骨髄の間質細胞表面に発現する間質細胞由来因子1(SDF-1)と結合することで造血幹細胞の骨髄への生着に関与している。プレリキサホルは、CXCR4に可逆的に結合し、CXCR4とSDF-1との結合を阻害することで、骨髄から末梢血中への造血幹細胞の動員を促進すると考えられている。

 本剤は2009年6月の未承認薬使用問題検討会議で、「国内での早期治験の必要性が高い薬剤」として評価された。そして、MMおよびNHL患者を対象としたプレリキサホル/G-CSF併用投与の海外第3相臨床試験および国内第2相臨床試験などにて有効性と安全性が確認された。海外では、2008年12月の米国をはじめとして、2016年7月まででEUなど世界54の国および地域で承認されている。

 使用に際しては、国内外の臨床試験で副作用が認められていることに十分注意する。主な副作用には、錯感覚・頭痛・下痢・悪心・注射部位反応・疲労(各5%以上)などがあり、重大な副作用としてはショック、アナフィナキシー、脾腫、脾破裂が報告されている。