2017年2月15日、抗ウイルス化学療法薬ダクラタスビル塩酸塩アスナプレビルベクラブビル塩酸塩(商品名ジメンシー配合錠)が薬価収載とともに発売された。本薬は、2016年12月19日に製造販売が承認されていた。適応は「セログループ1(ジェノタイプ1)のC型慢性肝炎またはC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善」。1回2錠を1日2回、食後に12週間経口投与する。なお、本剤の使用に際しては、C型肝炎ウイルスRNAが陽性であることと、肝予備能や臨床症状などを鑑みて非代償性肝硬変ではないことを確認する必要がある。

 日本は、C型肝炎ウイルスHCV)を主な原因とする肝臓癌の患者数が多い国の一つと言われている。HCV感染者は、世界で1億7000万人、日本では150万〜200万人と推定されている。C型慢性肝炎(ジェノタイプ1)の治療としては、インターフェロン(IFN)製剤、リバビリン(コペガス、レベトール)の併用療法が従来用いられていた。

 しかし近年、持続的ウイルス陰性化率を向上させたダクラタスビル(ダクルインザ)、アスナプレビル(スンベプラ)など経口の直接ウイルス阻害薬(DAAs)が複数開発・承認されている。さらに、2015年9月にはDAAsレジパスビルとソホスブビルの配合製剤(ハーボニー)、2015年11月にDAAsオムビタスビルとパリタプレビル、薬物動態学的ブースターとしてリトナビルを配合した製剤(ヴィキラックス)が臨床使用されるようになり、患者の利便性が高まっている。

 ジメンシーは、HCVの複製に必須の蛋白である非構造蛋白5A(NS5A)の機能を阻害するNS5A阻害薬ダクラタスビルと、非構造蛋白3/4Aプロテアーゼの活性部位を競合的に阻害するNS3/4Aプロテアーゼ阻害薬アスナプレビル、さらに新規のベクラブビルの3成分のDAAsを有効成分としている。中でもベクラブビルは、既存のハーボニーの有効成分ソホスブビルと同じ非構造蛋白5B(NS5B)ポリメラーゼ阻害薬である。両成分の相違としては、ソホスブビルが核酸型であるのに対して、ベクラブビルは非核酸型となっている。

 臨床現場ではダクラタスビルはアスナプレビルとの24週間投与の併用療法として認められており、奏効率が飛躍的に向上している。しかし、一方でこの併用療法では治療効果を大きく減弱させる遺伝子多型(薬剤耐性変異)が、ダクラタスビルおよびアスナプレビルともに発現することが知られていた。

 ジメンシーは、ダクラタスビルとアスナプレビルにベクラブビルを追加することで、HCVゲノム排除作用を増強し、薬剤耐性変異への有効性を高めている(in vitroにて確認)。さらに、ダクラタスビルとアスナプレビルとの併用療法は24週間投与であったが、ジメンシーは12週間投与で治療が可能となった。

 未治療およびIFN製剤による既治療のジェノタイプ1のC型慢性肝炎またはC型代償性肝硬変患者を対象とした国内臨床試験では、治療開始前の耐性関連変異の発現状況や未治療および既治療の有無を問わず良好な抗ウイルス効果が確認された。

 国内臨床試験では臨床検査値異常を含む副作用が56.7%に認められていることに十分注意する。主な副作用にはALT(GPT)増加(23.0%)、AST(GOT)増加(19.4%)、好酸球増加症(17.1%)、発熱(16.6%)、高ビリルビン血症(14.7%)などがあり、重大な副作用は肝機能障害、肝不全、多形紅斑、血小板減少、間質性肺炎が報告されている。