2016年11月29日、クローン病治療薬ブデソニド(商品名ゼンタコートカプセル3mg)が発売された。本薬は、2016年9月28日に製造販売が承認され、11月18日に薬価収載されている。適応は「軽症から中等症の活動期クローン病」。1日1回9mgを朝に経口投与する。薬剤使用に際しては、患者の病態を十分に観察し、投与開始8週間をめどに薬剤継続の必要性を検討することと、薬剤を中止する場合は用量を徐々に減量することなどに留意しなければならない。

 クローン病CD)は、口腔から肛門までの全消化管が非連続的に、全層にわたって侵される肉芽腫性炎症性腸疾患である。粘膜に多発するアフタやアフタ様潰瘍から始まり、縦走潰瘍、敷石像、線維化を伴う病変に進展する。そして、下痢、腹痛、血便・下血、肛門病変、外瘻などの消化器症状とともに、発熱、倦怠感、貧血などの全身症状を呈し、再燃と再発を繰り返す。CDは、原因が未だ不明で根本治療法がなく、治療目標は炎症反応の抑制、組織の治癒および症状の軽減となっている。

 日本のCD診療ガイドラインでの薬物治療は、メサラジン製剤が第一選択薬として位置づけられている。しかし、メサラジン製剤で十分な寛解導入効果が得られない場合には、ステロイドや免疫抑制薬などの使用を考慮することとなっている。一方、海外のガイドライン(AGAガイドライン、ECCOガイドライン)においては「回腸から上行結腸に病変を有する軽症から中等症のCD」の第一選択薬にステロイドで糖質コルチコイドのブデソニドが推奨されている。

 ゼンタコートは、ブデソニドを小腸および結腸近位部にて放出するように設計された腸溶性徐放顆粒を充填した硬カプセル剤である。ブデソニドは気管支喘息治療の吸入製剤として広く臨床使用されている。局所で強力な抗炎症作用を発揮するが、肝臓での初回通過代謝を受けやすいため、全身への作用は弱い特徴がある。

 ブデソニドはCD治療の第一選択薬として1995年のスウェーデンにおける承認を初めとして、2016年9月までで、英国、米国を含む世界40カ国以上で承認されている。これら海外での実績に加え、「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」にて必要性の高い薬剤として評価されたことが今回のCDへの承認につながった。製薬会社への開発要請は2010年12月に厚生労働省から出されている。軽症から中等症のCD患者を対象とした国内第3相臨床試験では、メサラジンとの二重盲検試験で非劣性が確認された。

 CD患者を対象とした国内臨床試験から臨床検査値異常を含む副作用が17.1%に認められていることに十分注意する。主な副作用はざ瘡(ざ瘡様皮膚炎を含む)、便秘、肝機能異常(肝機能検査異常を含む)(各2.4%)であった。