2016年12月15日、高脂血症治療薬ロミタピドメシル酸塩(商品名ジャクスタピッドカプセル5mg、同カプセル10mg、同カプセル20mg)が発売された。本薬は、9月28日に製造販売が承認され、11月18日に薬価収載されていた。適応は「ホモ接合体家族性高コレステロール血症」。1日1回、夕食後2時間以上空けて5mg投与する。忍容性に問題がなく、効果不十分な場合は2週間以上空けて10mgに増量し、さらに増量が必要な場合には、4週間以上の間隔で段階的に20mg、40mgと増量することが可能になっている。

 家族性高コレステロール血症(FH) は突然変異で生じる遺伝性疾患であり、低年齢の時から血漿中LDLコレステロール(LDL-C)値が高くなると分かっている。またFH患者は、ホモ接合体(HoFH)とヘテロ接合体(HeFH)のタイプに分かれており、コレステロール調節遺伝子の片方だけが変異しているHeFHの発生頻度は、調節遺伝子が両方ともに変異しているHoFHに比較して罹患患者が多い。日本では約500人に1人の割合でHeFHを発症している。HoFHは100万人に1人の割合ではあるもののLDL-C値が正常値の6倍を超えることもあり、より重篤な症状を伴うことも報告されているため、日本では166人(2014年)の罹患患者が特定疾患医療受給者として登録されている。

 現在、LDL-C値低下を目的とした高コレステロール血症の治療には、HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)の単剤、または作用機序が異なる他の薬剤との併用療法が基本となっており、多くの患者で有意なLDL-C値低下が認められている。しかし、虚血性心疾患の既往歴を有する患者で、脂質異常を誘因とした心血管イベントの発現リスクが高い場合、既存の薬物治療ではLDL-C値の低下が不十分となる症例も多い。

 2016年には、LDL受容体分解促進タンパク質であるPCSK9(プロ蛋白転換酵素サブチリシン/ケキシン9型)をターゲットとするヒト型モノクローナル抗体(IgG1、IgG2)のアリロクマブ(プラルエント)、エボロクマブ(レパーサ)の注射製剤が臨床使用されるようになった。

 ロミタピドは、HoFHのみの適応で承認された初めての脂質低下作用を持った薬剤で、作用機序も新しく、ミクロソームトリグリセリド転送タンパク質(MTP)を阻害する。MTPは肝細胞および小腸上皮細胞に多く発現し、トリグリセリドをアポタンパクBへ転送することで、肝臓では超低比重リポタンパク(VLDL)、小腸ではカイロミクロンの形成に関与している。ロミタピドは、小胞体内腔に存在するMTPに直接結合することで、肝細胞および小腸細胞内においてトリグリセリドとアポタンパクBを含むリポタンパク質の会合を阻害する。その結果、肝細胞のVLDLや小腸細胞のカイロミクロンの形成が阻害され、LDL-C値が低下するとされている。

 最大耐量の脂質低下療法(アフェレーシスを含む)を受けているHoFH患者に対して行った国内および海外の第3相試験では、本薬を追加投与することでベースラインからLDL-C値を有意に低下させた。さらに、海外第3相試験からの移行症例を対象とした長期投与試験でも、安定したLDL-C値の低下効果が示された。

 国内および海外の第3相試験から副作用が86〜100%に認められていることに十分注意する。主な副作用として胃腸障害(下痢、悪心、嘔吐、腹部不快感、消化不良、腹痛など)、肝機能検査異常などがあり、重大な副作用には肝炎、肝機能障害、胃腸障害が報告されている。