2016年11月18日、抗ウイルス薬エルバスビル(商品名エレルサ錠50mg)、グラゾプレビルグラジナ錠50mg)の2剤が薬価収載と同時に発売された。両薬剤は既に9月28日に製造販売が承認されている。適応は「セログループ1(ジェノタイプ1)のC型慢性肝炎またはC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善」。1日1回、エルバスビル50mgとグラゾピレビル100mgを12週間にわたって投与する。なお、1回投与量がエルバスビルでは1錠であるのに対して、グラゾプレビルは2錠であることに注意する。

 日本は、C型肝炎ウイルス(HCV)を主な原因とする肝臓癌の発生率が高い国の1つと言われている。HCV感染者は、世界で1億7000万人、日本では150万〜200万人と推定され、このうち70%がジェノタイプ1とされている。ジェノタイプ1の治療としては、インターフェロン(IFN)製剤、リバビリン(コペガス)の併用療法が推奨されてきたが、IFNを必要としない治療法として持続的ウイルス陰性化率を向上させたダクラタスビル(ダクルインザ)とアスナプレビル(スンベプラ)の併用、レジパスビル・ソホスブビル配合製剤(ハーボニー)などいくつかの直接作用型抗ウイルス薬(DAAs)の使用が、近年主流となってきている。しかし一方で、腎障害患者への投与制限や、薬剤耐性ウイルスの出現などの問題も生じてきている。

 エルバスビルとグラゾプレビルは、ともにHCVに対して抗ウイルス作用を有するDAAsであり、HCVの複製や細胞内シグナル伝達経路の調節する蛋白を阻害することで、抗ウイルス作用を発揮する。

 エルバスビルは、複製や細胞内シグナル伝達経路に関与する多機能蛋白である非構造蛋白5A(NS5A)を阻害する。HCV NS5A阻害薬としては、ダクラタスビル、オムビタスビル、レジパスビルに次ぐ4番目の薬剤である。

 グラゾプレビルはHCVの複製に必須である非構造蛋白3/4A(NS3/4A)プロテアーゼを競合的に阻害することで抗ウイルス作用を発揮する。プロテアーゼ阻害薬としては、アスナプレビル、シメプレビル(ソブリアード)、パリタプレビルと同じ第二世代に位置づけられている[第一世代はテラプレビル(テラビック)]。

 ジェノタイプ1のC型慢性肝炎患者を対象としたエルバスビルとグラゾプレビルの12週併用療法の持続的ウイルス陰性化率は高く、国内第3相臨床試験では96.5〜97.1%であった。なお、海外の検討ではエルバスビルとグラゾプレビルの併用療法は重度腎機能障害合併例で持続的ウイルス陰性化率99.1%が得られている。

 国内臨床試験におけるエルバスビルとグラゾプレビルの併用療法では、臨床検査値異常を含む副作用が27.3%に認められている。主な副作用はALT(GPT)増加(5.8%)、AST(GOT)増加(4.8%)、頭痛(2.4%)、倦怠感・下痢(各2.0%)、便秘・発疹(各1.7%)などであり、重大な副作用として肝機能障害が報告されている。