2016年11月29日、難吸収性リファマイシン系抗菌薬リファキシミン(商品名リフキシマ錠200mg)が発売された。本薬は、9月28日に製造販売が承認され、11月18日に薬価収載されている。適応は「肝性脳症における高アンモニア血症の改善」。1回400mgを1日3回、成人に食後投与する。

 肝性脳症は、劇症肝炎や肝硬変などに伴う重篤な合併症の一つ。体内でのアンモニア代謝が不十分になり、脳が直接障害される。意識障害、人格変化、異常行動および神経筋活動の変化(羽ばたき振戦)などの精神神経症状を示し、最終的に意識消失、昏睡に至る。

 肝硬変患者の30〜45%が肝性脳症を併発し、再発率が高く予後は不良である。肝性脳症の主な原因としては、肝細胞の障害や、門脈-大循環短絡路(シャント)形成による血中アンモニア濃度上昇がある。

 肝性脳症の治療には、日常の栄養管理や血漿交換などの特殊療法が行われている。薬物療法としては、アンモニアの産生・吸収抑制を目的とした合成二糖類(ラクツロースまたはラクチトール)、代謝・排泄促進を目的としたアミノレバンなどの分岐鎖アミノ酸製剤(BCAA)が使用されている。しかし、これらの薬剤、特に合成二糖類は下痢などの副作用に加え、味や携帯性に問題があり、長期アドヒアランスの維持が困難であると指摘されていた。

 リファキシミンは、グラム陽性菌、グラム陰性菌、好気性菌および嫌気性菌に対して有効性を示し、腸管で吸収されないリファマイシン系抗菌薬である。リファマイシン系抗菌薬としては、既にリファンピシン(リファジン他)やリファブチン(ミコブティン)などが結核治療薬として広く臨床使用されているが、肝性脳症への適応はリファキシミンが初となる。

 リファキシミンそのものは細菌のRNA合成を阻害する作用を持ち、経口投与により腸管内のアンモニア産生菌に作用し、アンモニア産生を抑制することで血中アンモニア濃度を低下させる。肝性脳症患者を対象とした国内臨床試験では、対照薬のラクチトールと同様に血中アンモニア濃度、PSE指数および肝性脳症昏睡度の低下が認められた。PSE指数とは、肝性脳症昏睡度、血中アンモニア濃度、羽ばたき振戦および精神神経機能の検査結果を一元化した指標のこと。

 国内外の診療ガイドラインでは、本薬を含む腸管非吸収性抗菌薬の使用が推奨されており、既に海外では2016年5月までに、米国やEUなど世界68の国または地域で承認されている。日本では2012年1月に日本消化器病学会および日本小児栄養消化器肝臓学会から厚生労働省へ早期承認を希望する要望が出されており、2013年5月に希少疾病用医薬品に指定されていた。

 国内臨床試験では副作用が13.4%に認められていることに注意する。主な副作用は便秘(2.5%)、下痢(1.3%)などであり、重大な副作用は偽膜性大腸炎(クロストリジウム・ディフィシル関連下痢症)が報告されている。

 なお、国内での治験症例が限られているため、全症例を対象とした使用成績調査を一定期間実施することが承認条件となっていることに注意する必要がある。また本薬は難吸収性製剤であるが、耐性菌の発現などを防ぐため、効果を十分に確認し、治療に必要な最小限の期間の投与にとどめることとされている。