2016年9月28日、緑内障・高眼圧症治療薬カルテオロール塩酸塩ラタノプロスト(商品名ミケルナ配合点眼液)の製造販売が承認された。本薬は、従来から臨床使用されているβ遮断薬であるカルテオロール塩酸塩(ミケランLA)とプロスタグランジンF2α誘導体のラタノプロスト(キサラタン)とを配合した点眼薬であり、用法用量として1日1回、1滴を点眼する。

 緑内障診療ガイドラインによると、緑内障は「視神経乳頭、視野の特徴的変化の少なくとも一つを有し、通常、眼圧を十分に下降させることにより視神経障害の改善あるいは進行を阻止し得る眼の機能的構造的異常を特徴とする疾患」と定義されている。具体的には眼圧上昇等により視神経が損傷を受け、視野が徐々に欠け、放置すると失明の危険性がある代表的な疾患である。日本では40歳以上の20人に1人が発症しており、視覚障害の原因の第一位となっている。

 緑内障の中には、眼圧が上昇しないタイプ(正常眼圧緑内障)も多いことから未治療の罹患患者も多く、早期発見・早期治療が重要といわれている。緑内障・高眼圧症で唯一確立された治療は眼圧を下降することとされており、治療薬としては房水流出促進作用のプロスタグランジン誘導体、房水産生抑制作用のβ遮断薬や炭酸脱水酵素阻害薬の点眼薬が中心的な治療薬剤となっている。

 1剤だけの点眼薬の投与で長期間眼圧をコントロールすることには限界があり、実際の臨床現場では2剤併用する症例も多くなってきている。しかし、点眼薬を2剤以上併用する場合には、続けて点眼すると涙嚢から薬液があふれ出してしまうことから、点眼間隔を5分以上空けることが必要とされ、逆に患者のコンプライアンス低下につながる懸念が指摘されていた。

 このことから、近年、β遮断薬チモロールマレイン酸塩(チモプトール、リズモン)と薬効が異なる薬剤(プロスタグランジン誘導体や炭酸脱水素酵素阻害薬)を配合した点眼薬が開発・承認されてきている。

 ミケルナは、β遮断薬とプロスタグランジン誘導体を配合した点眼薬として4番目となる配合製剤である。これまでにはβ遮断薬のチモロールと、ラタノプロストを配合した製剤(ザラカム)、トラボプロストを配合した製剤(デュオトラバ)、タフルプロストを配合した製剤(タプコム)が市販されていた。ただしミケルナは、チモロール以外のβ遮断薬が配合された日本初の製剤である。

 今回承認されたミケルナは、臨床試験で1日1回の点眼で従来の2%カルテオロール(1日1回)およびラタノプロスト(1日1回)単剤に対する優越性、さらには併用と同程度の眼圧下降効果が認められている。ミケルナは、点眼薬を2剤併用していた患者には不便さを解消し、コンプライアンス低下を防止する有用な点眼薬であり、防腐剤のベンザルコニウム塩化物を含まず、かつ常温保存が可能な薬剤でもある。

 使用の際は、国内臨床試験の結果から副作用が11.7%認められていることに十分注意する必要がある。主な副作用として眼充血(2.6%)、眼刺激・眼の掻痒感・眼痛・霧視・角膜障害・眼の異物感(各1.5%)などがあり、重大なものは喘息発作、失神、房室ブロック、洞不全症候群、洞停止等の徐脈性不整脈、うっ血性心不全、冠攣縮性狭心症、虹彩色素沈着が報告されている。また、カルテオロールにて眼類天疱瘡、脳虚血、脳血管障害、全身性エリテマトーデスも報告されているので注意しなければならない。