2016年8月26日、長時間作用性吸入気管支拡張薬チオトロピウム臭化物水和物(商品名スピリーバ2.5μgレスピマット60吸入)の適応拡大と、気管支喘息のみの適応を有する1.25μgの低用量剤形(スピリーバ1.25μgレスピマット60吸入)の製造販売が承認された。

 同薬適応は適応拡大を受けて、「慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎、肺気腫)」と「気管支喘息の気道閉塞性障害に基づく諸症状の緩解」となり、気管支喘息に関しては重症持続型に限るとした制限が削除された。用法用量として、慢性閉塞性肺疾患では2.5μg製剤を1日1回2吸入(チオトロピウムとして5μg)する。気管支喘息では1.25μg製剤を1日1回2吸入(2.5μg)し、症状・重症度に応じて2.5μg製剤を1日1回2吸入(5μg)投与する。

 慢性閉塞性肺疾患(COPD)は喫煙習慣が主な原因となる肺の生活習慣病で、高齢者の罹患割合が高いことが知られている。症状として、息切れなどによって日常生活に支障を来し、進行すると酸素吸入が必要となる。国内外でいくつかのガイドラインが公表されており、薬物療法としてはチオトロピウムなどの抗コリン薬やβ2刺激薬などの気管支拡張薬(特に、吸入製剤)が主に使用されている。

 チオトロピウムは抗コリン性気管支拡張薬であり、気管に局所投与することで気道平滑筋のM3受容体に結合して気管の収縮を抑制する。ムスカリン受容体サブタイプの中でもM3受容体からの解離半減期が長いことから、「長時間作用性気管支拡張薬」として2004年12月より専用の吸入器具(ハンディヘラー)を用いる吸入カプセル18μg製剤が使用されるようになった。さらに、2010年5月から噴射ガスを使用せず、吸入液を機械的にソフトミスト化して噴霧する専用の吸入器(レスピマット)が一体化された携帯型2.5μg製剤が使用されている。

 チオトロピウムの気管支喘息への適応は、海外および国内臨床試験において重症持続型の気管支喘息に対する有効性・安全性が示されたことで2014年11月に追加承認された。その後、より一層広範な重症度の気管支喘息に対応するために低用量の1.25μg製剤の開発が進むと同時に、2.5μg製剤と1.25μg製剤を用いた中等度から重症持続性喘息患者を対象とした国内長期投与試験が行われた。同試験において、それぞれの製剤の用量(1回2吸入)もプラセボに比べてトラフFEV1を改善することが示され、今回の適応拡大につながった。

 1.25μg製剤を含めて実施された国内長期投与試験では、7.02%に副作用が認められている。主な副作用は口渇(1.75%)などであり、重大な副作用は心不全、心房細動、期外収縮、イレウス、閉塞性隅角緑内障、アナフィナキシーが報告されている。

 レスピマットを使用する薬剤は2.5μgおよび1.25μg製剤の2規格となるが、これらの製剤においては、適応症および使い方も異なることを十分注意しなければならない。具体的には、COPDおよび気管支喘息に適応を有するのは2.5μg製剤であり、1.25μg製剤は、気管支喘息のみの適応である。さらに気管支喘息において始めから2.5μg製剤を使用するのではなく、重症度の高い患者にのみ用いることを留意する必要がある。また、レスピマットは1回2吸入使用する製剤であり、1回1吸入では、1日の服用量を担保できないことにも注意する。