2016年9月1日、抗パーキンソン病薬レボドパカルビドパ水和物(商品名デュオドーパ配合経腸用液)が発売された。本薬は7月4日に製造承認、8月31日に薬価収載されている。適応は、レボドパ含有製剤を含む既存の薬物療法にて十分な効果が得られないパーキンソン病の症状の日内変動の改善。本剤は投与前の経口レボドパ量に応じて初回投与量を決定する。朝に5〜10mL(最大15mL)を10〜30分かけて胃瘻を通じて空腸に投与した後、2〜6mL/時間で同様に持続投与する。なお、投与時間は日中に16時間以内で行う。患者の症状により適宜増減させるが、1回あたりの追加投与は0.5〜2.0mLとし、1日総投与量は100mLを超えないようにする。

 パーキンソン病(PD) は(1)安静時振戦、(2)筋強剛(筋固縮)、(3)無動・寡動、(4)姿勢反射障害の4大症状を有する神経変性疾患で、黒質のドパミン神経細胞の変性を主体とする。日本では人口10万人あたり100〜150人が罹患していると推定されており、近年では人口構成の高齢化に伴い有病率は増えている。PDの発症年齢は50〜65歳に多いが、高齢になるほど発病率が増加する傾向がある。

 現時点では、PDの病勢の進行を止める根本治療法はないものの、薬剤による対症療法が中心に行われている。ドパミン補充のため、L−ドーパ含有製剤レボドパ(ドパゾール、ドパストン)およびレボドパ・カルビドパ水和物(ネオドパストン、メネシット)やペルゴリド(ペルマックス)、ブロモクリプチン(パーロデル)などのドパミン受容体刺激薬の錠剤が臨床使用されている。中でもドパミンの前駆体であるレボドパは、脳内でドパミンに変換され、PD症状の軽減に高い有用性を持つと評価されている。しかし一方で、レボドパの長期使用により、次の服用前に効果が消失するwearing−off現象やレボドパの長期服用によって生じる不随意運動(ジスキネジア)などの運動症状の日内変動が発現する。既存の薬剤の用法用量の調整や、作用機序が異なる別の薬剤への変更でもこれらの症状はコントロールできず、大きな問題となっていた。

 レボドパ・カルビドパ水和物製剤のデュオドーパは、用量比を既存の配合製剤の10:1から4:1とした1カセット(100mL)のゲル状懸濁液である。配合されているカルビドパは、末梢におけるレボドパの代謝を阻害する末梢性ドパミン脱炭酸酵素阻害薬であり、脳内に移行するレボドパ量を増加させ、また、レボドパの脱炭酸反応に起因する悪心、嘔吐などの末梢作用を軽減する働きがある。

 デュオドーパ投与の準備として、経皮的内視鏡的胃瘻造設術を行う必要がある。チューブ(アッヴィPEGキットおよびアッヴィJチューブなど)および携帯型注入ポンプ(CADD−Legacy1400ポンプ)を用いて近位小腸へ持続的に送達することで、経口投与よりもレボドパおよびカルビドパの血漿中濃度のばらつきを小さくする。これにより、運動症状の日内変動の減少および発現リスクの軽減が図れると期待されている。日本人患者を含むアジア国際共同第3相臨床試験にて、既存の薬物治療でも十分な効果が得られない進行期PD患者のoff時間(薬が効かず症状が悪化している状態)を長期に(52〜64週)わたって有意に短縮するなど、有効性や安全性が確認された。2016年2月までに、欧米など世界48カ国で承認されている。

 アジア国際共同第3相臨床試験では、96.8%に副作用が認められていることに十分注意する。主な副作用は切開部位痛(41.9%)、過剰肉芽組織(32.3%)、術後疼痛(16.1%)などであり、重大な副作用としては悪性症候群、幻覚、錯乱、抑うつ、胃潰瘍・十二指腸潰瘍の悪化、溶血性貧血、血小板減少症、突発的睡眠、悪性黒色腫、閉塞隅角緑内障が報告されている。