2016年7月4日、乾癬治療薬ブロダルマブ(商品名ルミセフ皮下注210mgシリンジ)の製造販売が承認された。適応は「既存治療で効果不十分な尋常性乾癬関節症性乾癬膿疱性乾癬乾癬性紅皮症」。1回210mgを初回、1週後、2週後に皮下投与し、それ以降は2週間間隔で皮下投与する。

 乾癬は青年期から中年期に好発する慢性再発性炎症疾患で、厚い銀白色の鱗屑を伴った紅斑を臨床的な特徴とする。世界の人口の約3%(約1億2500万人)、日本では人口の約0.1〜0.3%が罹患していると推測されている。乾癬になりやすい遺伝的素因を持った人がさまざまなストレスにさらされることで発症すると考えられているが、未だ原因の解明には至っていない。約90%の乾癬患者は皮膚以外に症状を伴わない尋常性乾癬であるが、乾癬の諸症状の他に、全身の関節に炎症・こわばり・変形などを生じる関節症性乾癬も存在する。罹患患者は少ないものの、関節の変形は不可逆性であるため、より積極的な治療が不可欠となっている。

 従来の乾癬治療では、ステロイド外用療法、紫外線療法、または内服のシクロスポリン(サンディミュン、ネオーラルなど)による全身療法が行われている。さらに近年では抗TNFα抗体の皮下注射製剤アダリズマブ(ヒュミラ)および点滴静注製剤インフリキシマブ(レミケード)、抗インターロイキン(IL)-12 /23p40抗体の皮下注製剤ウステキヌマブ(ステラーラ)、抗IL-17 A抗体の皮下注製剤セクキヌマブ(コセンティクス)などの生物学的製剤による抗体療法も可能となり、治療選択肢が広がっている。

 ブロダルマブは炎症性サイトカインであるIL-17Aの受容体Aに特異的に結合するヒトIgG2モノクローナル抗体で、IL-17AやIL-17Fなどによるシグナル伝達を阻害する。IL-17Aを標的とした点で異なっている抗体製剤にセクキヌマブが存在するが、ブロダルマブは受容体に結合する。IL-17A受容体Aに対する抗体としては世界初の薬剤で、国内および海外臨床試験にて有効性および安全性が確認された。

 国内外の臨床試験を併合した解析結果から、35.6%に副作用が認められていることに十分注意する。主な副作用は上気道感染(5.1%)、鼻咽頭炎(3.7%)、頭痛、関節痛(それぞれ2.1%)、そう痒症(1.9%)、疲労(1.7%)、口腔カンジダ症(1.6%)などであり、重大な副作用は重篤な感染症(0.8%)、好中球数減少(0.7%)、重篤な過敏症(0.02%)が報告されている。

 またブロダルマブと同時に、既存のセクキヌマブと同じ作用機序を有する抗IL-17 A抗体イキセキズマブ(トルツ)がシリンジ、オートインジェクターの2製剤で承認された。オートインジェクターとはボタンを押すだけで注射が可能な、安全性や簡便性を考慮したデバイスのこと。