2016年7月4日、抗てんかん薬ラコサミド(商品名ビムパット錠50mg、同錠100mg)の製造販売が承認された。適応は「他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)に対する抗てんかん薬との併用療法」。1日100mgを2回分割より投与開始し、1週間以上の間隔をあけて増量し、維持用量は1日200mg、2回分割とする。なお、症状により1日400mgを超えない範囲で適宜増減するが、増量する場合は1週間以上の間隔を空けて1日用量として100mg以下ずつ行う。

 てんかんは、脳内の神経細胞の異常な電気的興奮に伴って痙攣や意識障害などが発作的に起こる慢性疾患である。発作のタイプにより、てんかん全体の約6割を占める部分てんかんと約4割を占める全般てんかんに大別される。このうち、部分てんかんは脳の電気信号の異常が一部分に限定されているが、中には異常が二次的に脳全体に広がり、全般性の発作になる場合がある(二次性全般化発作)。

 てんかんの薬物治療では、バルプロ酸ナトリウム(デパケン他)、ラモトリギン(ラミクタール)、レベチラセタム(イーケプラ)などが臨床使用されている。また、今年2016年8月には新しい作用機序を有するAMPA受容体拮抗薬ペランパネル(フィコンパ)が臨床使用されるようになった。

 ラコサミドは既存の抗てんかん薬とは異なり、電位依存性ナトリウムチャネルの緩徐な不活性化を選択的に促進することで、過興奮状態にある神経細胞膜を安定化させる薬剤である。また海外では、有用性以外にも臨床的に重要な薬物相互作用が認められないこと、薬物動態プロファイル、服薬継続率などの観点から多くの利点があると評価されている。

 日本では、厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」にて高い評価がなされ、開発が進められた。日中共同臨床試験およびこの試験の長期継続投与試験では、発作コントロールが得られていない部分発作を有する16歳以上の成人患者を対象とし、他の抗てんかん薬との併用療法においてラコサミドの有用性が認められた。

 日本および中国での臨床試験では59.4%に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められているため投与の際は十分に注意する。主な副作用としては、浮動性めまい(27.5%)、傾眠(10.4%)、頭痛、嘔吐(それぞれ5.9%)、悪心(5.5%)、白血球減少(3.4%)などがあり、重大なものは房室ブロック、徐脈、失神、中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群、薬剤性過敏症症候群、無顆粒球症が報告されている。

 腎機能障害患者(Ccr 30mL/min以下の重症および末期腎機能障害)および軽度・中等度の肝機能障害患者(Child-Pugh分類AおよびB)では1日最高用量を300mgまでとし慎重な投与が必要になる。また血液透析を受けている患者には、1日用量に加えて血液透析後に最大で1回用量の半量を追加投与するなど、臨機応変な対応が求められる。