2016年7月4日、抗悪性腫瘍薬カルフィルゾミブ(商品名カイプロリス点滴静注用10mg、同点滴静注用40mg)の製造販売が承認された。適応は再発または難治性の多発性骨髄腫。レナリドミドおよびデキサメタゾンと併用使用し、1日1回、20mg/m2(1日目および2日目)、27mg/m2(8日目、9日目、15日目、16日目)を10分間かけて点滴静注し、12日間休薬する。この28日間を1サイクルとして、12サイクルまで投与を繰り返す。なお、13サイクル以降は、1日目、2日目、15日目、16日目に点滴静注し、12日間休薬する。またレナリドミドおよびデキサメタゾン以外の抗悪性腫瘍剤との併用使用した場合や、本剤を単剤使用した場合の有効性および安全性は確立していない。

 多発性骨髄腫(MM)は、再発を繰り返し治癒が困難な難治性の造血器腫瘍であり、骨髄中の白血球の一種である形質細胞が癌化する疾患である。MMでは貧血、腎障害、骨痛および骨折、血液中のCa値上昇などの症状が発現する。日本におけるMM推定罹患患者は約1万4000人で、人口10万人あたりの推計年齢調整罹患率は約2人、年間死亡者数は約4066人と報告されている。また60歳以上で発症し、40歳以下での発症はまれとされている。

 現在、MM治療はプロテアソーム阻害薬ボルテゾミブ(ベルケイド)や免疫調節薬サリドマイド(サレド)、レナリドミド(レブラミド)、ポマリドミド(ポマリスト)、さらに2015年8月より使用可能となったヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害薬パノビノスタット(ファリーダック)を用いた複数のレジメンが用いられている。

 カルフィルゾミブは、ボルテゾミブと同じ細胞周期に重要な役割を担っている細胞内に存在する酵素複合体「プロテアソーム」のキモトリプシン様活性を阻害することで、癌細胞のアポトーシスを誘導する不可逆的かつ選択的なプロテアソーム阻害薬である。さらにカルフィルゾミブは、ボルテゾミブに耐性を示す癌細胞株においても、細胞傷害作用を示すことが認められている。

 再発または難治性のMM患者を対象とした海外第3相臨床試験でレナリドミドおよびデキサメタゾン(Rd)療法と比較してカルフィルゾミブ、レナリドミドおよびデキサメタゾン(KRd)療法の無増悪生存期間の有意な延長がみとめられている。さらに、国内第1相臨床試験でもKRd療法の高い奏効率が認められた。海外では、2012年7月に米国で承認されて以降、2016年1月までで41の国と地域で承認されている。日本では2015年8月に希少疾病用医薬品として指定されている。

 上記の海外第3相臨床試験では84.7%に臨床検査値異常を含む副作用が認められている。主な副作用には好中球減少(36.2%)、貧血(26.5%)、血小板減少(25.3%)、疲労(22.4%)などがあり、重大なものは心障害、間接性肺疾患、肺高血圧症、肝不全・肝機能障害、急性腎不全、腫瘍崩壊症候群、骨髄抑制、Infusion reaction、血栓性微小血管症、可逆性後白質脳症症候群・脳症、高血圧・高血圧クリーゼ、静脈性血栓塞栓症、出血、感染症、消化管穿孔が報告されている。国内第1相臨床試験では26例中全例に副作用が認められ、主なものに血小板減少(46.2%)、リンパ球減少(42.3%)、高血糖(38.5%)などがある。