2016年5月25日、ヒト化抗IL-5モノクローナル抗体メポリズマブ(商品名ヌーカラ皮下注用100mg)が薬価収載された。本薬は3月28日に製造販売が承認されている。適応は「気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない難治の患者に限る)」で、成人及び12歳以上の小児に1回100mgを4週間ごとに皮下注射する。

 気管支喘息は、気道の慢性炎症、気道過敏性の亢進、可逆性の気道閉塞等を特徴とする慢性の呼吸器疾患である。気道炎症の持続により、気道の機能障害とそれに続く気道構造の組織学的変化が惹起され、非可逆性の気流制限をもたらす。具体的な症状としては発作性の呼吸困難、喘鳴、胸苦しさ、咳などがある。近年、減少傾向にはあるものの、いまだに死亡例があることから適切な治療による管理の普及が求められている。

 現在、気管支喘息治療に関する国内外のガイドラインでは、吸入ステロイド薬(ICS)による治療が第一選択となっている。重症度により、長時間作用型β2刺激薬、ロイコトリエン受容体拮抗薬、テオフィリン、長時間作用性抗コリン薬、経口ステロイド薬などが使用されている。しかし、第一選択薬のICSや他の薬剤との併用療法を施行しても予後に影響を及ぼす可能性のある喘息増悪をきたす重症患者においては、2012年にIgEに対するモノクローナル抗体のオマリズマブ(商品名ゾレア)が登場したが、いまだに治療選択肢が限られる現状があった。

 気管支喘息の病態に関して、2型ヘルパーT細胞(Th2細胞)により産生されるIL-5が好酸球の増殖・活性化を介して気道炎症の病態形成に重要な役割を担っていることが示されている。このことから、ヒトIL-5に高親和性で結合し、リガンドのIL-5受容体複合αサブユニットへの結合を阻害できれば症状を抑えられるというコンセプトが考えられ、その生物活性を中和するモノクローナル抗体であるメポリズマブが開発された。

 メポリズマブは症状がコントロールできない重症の気管支喘息の治療薬で、オマリズマブに次ぐ薬剤である。重症喘息患者(高用量ICSと他の治療薬を使用して過去12か月間に2回以上喘息増悪を発現)を対象とした、日本人を含む国際共同第3相試験で有効性及び安全性が確認された。海外では2015年11月に米国、2015年12月に欧州で承認されている。

 国際共同第3相試験及び海外臨床試験では23%に臨床検査値異常を含む副作用が認められ、主なものは注射部位反応(8%)、頭痛(5%)、過敏症(2%)であった。

 なお薬剤調製に際して、1バイアルあたり注射用水1.2mLで用時溶解させると溶解後の濃度がメポリズマブ100mg/mLとなる。