2016年3月28日、ライソゾーム酸性リパーゼ欠損症治療薬セベリパーゼ アルファ(商品名カヌマ点滴静注液20mg)の製造販売が承認された。適応は「ライソゾーム酸性リパーゼ欠損症ウォルマン病コレステロールエステル蓄積症)」。用法用量は1回1mg/kgを2週に1回点滴静注とし、効果不十分な場合には、1回3mg/kgを2週に1回又は週1回まで増量できる。なお、乳児期発症の急速進行性時の用法用量については添付文書を参照されたい。

 ライソゾーム酸性リパーゼ欠損症(LAL-D)は常染色体の劣勢遺伝で生じる、きわめてまれな進行性の多臓器疾患である。ライソゾーム酵素の一種であるライソゾーム酸性リパーゼ(LAL)が欠損し、全身の組織や細胞のライソゾーム内にコレステロールエステル及びトリグリセリドが蓄積する。LAL-Dの中でも乳児期に発症するウォルマン病は急速に進行し、成長障害や重度の肝疾患などを呈して多くは生後6ヵ月以内に死亡する。また、小児期や成人期に発症するコレステロールエステル蓄積症では、肝腫大や肝障害、肝線維症、肝硬変などの肝障害や脂質異常症を引き起こし、結果的にアテローム性動脈硬化症、心疾患などの深刻な疾患を発症する。これまでは根本的な治療法がなく対症療法のみであったため、新たな治療薬が熱望されていた。

 カヌマはLAL-Dの酵素補充療法に用いる世界で初めての治療薬である。遺伝子組み換え技術で作製したトランスジェニックニワトリが産卵する卵の卵白中に、組換えヒトライソゾーム酸性リパーゼとして産生される。LAL-Dを有する乳児、小児及び成人患者における国内外の臨床試験から、有効性(血清ALT及びAST、脂質異常症の改善など)と安全性が確認された。2015年8月にEU、2015年12月に米国で承認され、日本では2015年10月に希少疾病用医薬品に指定されていた。

 LAL-D患者を対象とした国内外の臨床試験では、106例中31例にいくつかの副作用が認められている。主なものとして腹痛、下痢、蕁麻疹、発熱、嘔吐、悪心、頻脈などであり、重大なものはアナフィラキシーおよび重度の過敏症が報告されている。

 特に本薬は蛋白質製剤であるため、上記の副作用のような重度のアレルギー反応が発現する可能性もある。そのため投与の際は、緊急時に十分な対応ができる準備をすること、重篤なinfusion associated reactionが発現した場合には直ちに投与を中止することなどの適切な処置が必要になる。

 なお、本薬は添加物としてヒト血液由来成分を含み、特定生物由来製品に指定されている。そのため投与又は処方時には「医薬品名、製造番号、投与又は処方した日、投与又は処方を受けた患者氏名と住所」などを記録し、少なくとも20年間保存する義務がある。また、トランスジェニックニワトリの卵から製造するため、卵アレルギーがある患者には有効性と危険性を考慮した上で投与を決定することとなっている。