2016年3月28日、血液凝固第VIII因子製剤ルリオクトコグ アルファ ペゴル(商品名アディノベイト静注用500他)およびオクトコグ ベータ(商品名コバールトリイ静注用250他)の製造販売が承認された。適応はいずれも「血液凝固第VIII因子欠乏患者における出血傾向の抑制」。用法用量は1回10〜30国際単位/kgを緩徐に静注とあるが、定期的に投与する場合の詳細は添付文書を参照されたい。

 血友病Aは第VIII因子の欠損による出血性疾患で、主に男性に発症する。正常に血液が凝固しないため、出血を繰り返したり、出血が長時間続いてしまったりする。合併症は関節や筋肉内の出血による関節の重度の腫れや痛み、破壊や変形などの関節障害がある。致死的な出血を起こす危険もある。世界で約40万人いる血友病患者のうち血友病Aは最も多いタイプで、日本では約5000人が罹患している。

 血友病Aの治療としては第VIII因子製剤による補充療法が標準的で、これまでルリオクトコグ アルファ(商品名アドベイト)、オクトコグ アルファ(商品名コージネイトFS)などが世界中で広く使用されている。第VIII因子製剤による補完治療には、出血時に投与するもの、活動的な日に予防的に投与するもの(予防的補完治療法)と非出血時に定期的に投与するもの(定期補完治療法)がある。定期補完療法では週3回程度投与するため頻回の静脈注射が必要だった。また、コージネイトFSは細胞培養時にヒト血漿タンパクを使用しており、未知のウイルスを伝播させる可能性が否定できなかった。

 アディノベイトは体内での第VIII因子の活性時間を延ばすために、アドベイトの有効成分であるルリオクトコグ アルファにポリエチレングリコールを付加(PEG化)した製剤である。PEG化によりルリオクトコグ アルファの血中半減期を延長させている。コバールトリイはコージネイトFSと同じアミノ酸配列を有する第VIII因子が有効成分であるが、動物とヒト由来の添加物の除去やウイルスろ過により感染リスクを極力排除した製剤である。

 これらの薬品は日本人も参加した第II/III相国際共同臨床試験にて、血友病患者への有効性及び安全性が確認された。アディノベイトは2015年に米国で承認され、欧州では承認申請中である。コバールトリイは今年2016年に米国と欧州で承認された。臨床試験で認められた副作用は、頭痛(アディノベイト)、瘙痒(コバールトリイ)などで、重大なものとしてはショック、アナフィラキシーの発現が懸念されている。

 なお、両薬品は血液製剤代替の生物由来製品であるため、従来の特定生物由来製品と同様に処方した場合には「医薬品名、製造番号、投与又は処方した日、投与又は処方を受けた患者氏名と住所」などを記録し、少なくとも20年間保存する義務がある。