2016年3月28日、抗てんかん薬ペランパネル(商品名フィコンパ錠2mg、同錠4mg)の製造販売が承認された。適応は「他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)および強直間代発作に対する抗てんかん薬との併用療法」である。

 成人および12歳以上の小児は、本薬を1日1回2mg就寝前に投与することから始め、1週間以上の間隔をあけて2mgずつ漸増する。本薬の代謝を促進する抗てんかん薬を併用しない場合は1日1回8mg、併用する場合は1日1回8〜12mgを維持量とし、1日最高12mgまで。

 てんかんは、脳内の神経細胞の異常な電気的興奮に伴って痙攣や意識障害などが発作的に起こる慢性的な疾患である。発作のタイプにより、部分てんかんと全般てんかんに大別される。

 てんかん全体の約6割を占める部分てんかんは、多くの場合、脳の電気信号の異常が一部分に限定されている。まれに異常が二次的に脳全体に広がり、全般性の発作になる場合がある(二次性全般化発作)。

 全般てんかんは、発作直後から意識がなくなり、全身に症状があらわれる特徴がある。中でも強直間代発作は、全般てんかんにおいて最も一般的かつ重篤な発作型の1つといわれており、突然の転倒による重篤なけがの恐れがあるほか、その発作頻度はてんかん患者の予期せぬ突然死(SUDEP)の最も重要な危険因子とされる。

 てんかんの薬物治療では、バルプロ酸(商品名セレニカ、デパケン他)、ラモトリギン(商品名ラミクタール)、レベチラセタム(商品名イーケプラ)などが臨床使用されている。一方で、日本におけるてんかん患者数は約100万人と推定されており、うち約30万人は既存の抗てんかん薬では発作を十分コントロールできていないという報告がある。

 今回承認されたペランパネルは、てんかん発作が神経伝達物質グルタミン酸に誘導されることから創製された、既存の薬剤とは異なる新しい作用機序を有した薬剤である。

 具体的には、グルタミン酸によるシナプス後AMPA受容体の活性化を選択的に阻害して、神経の過興奮を抑制する、非競合的AMPA受容体拮抗薬である。海外では、欧州(2012年7月)、米国(2012年10月)で承認されて以降、2015年10月までに世界29カ国で承認されている。

 臨床第3相試験として、難治性部分発作(335試験)および難治性強直間代発作(332試験)を対象にそれぞれ国際共同試験が実施され、本薬の有効性と安全性が確認された。

 臨床試験では約70%に副作用が認められている。主な副作用は浮動性めまい、傾眠などであり、重大な副作用として攻撃性などの精神症状があらわれることが報告されている。

 なお、ペランパネルは薬物代謝酵素CYP3Aで代謝されることから、CYP3A誘導作用を有する抗てんかん薬カルバマゼピン(商品名テグレトール他)、フェニトイン(商品名アレビアチン、ヒダントール)と併用する場合は、ペランパネルの用量を調節する必要がある。