2016年2月29日、高リン血症治療薬ビキサロマー(商品名キックリンカプセル250mg)の適応が拡大された。新しい適応は「慢性腎臓病患者における高リン血症の改善」で、1回500mgを開始用量として、1日3回食直前に投与する。最高用量は1日7500mg。

 透析患者は、血清リン濃度が3.0〜6.0mg/dLになるように投与量を調節する。保存期慢性腎臓患者は、各施設の血清リン濃度の基準値内を維持できる投与量で、増量幅は1回500mgまでとする。

 本薬は2012年6月から「透析中の慢性腎不全患者での高リン血症」の適応で臨床使用されていた。

 高リン血症は、透析導入前の保存期慢性腎臓病(CKD)患者でも、腎機能の悪化や冠動脈石灰化、生命予後に影響を及ぼす重要な因子であることが報告されている。

 このことから、日本透析学会の「慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常の診療ガイドライン2012」および日本腎臓学会「CKD診療ガイド2012」では、各施設で血清リン濃度の基準値を定め、各患者の血清リン濃度をその基準内に維持することが望ましいとしている。

 現在、保存期CKD患者の高リン血症に対する適応がある経口リン吸着薬としては、沈降炭酸カルシウム(商品名カルタン他)、炭酸ランタン水和物(商品名ホスレノール)、クエン酸第二鉄水和物(商品名リオナ)が臨床使用されている。

 今回適応追加されたビキサロマーは、非吸収性のアミン機能性ポリマーである。陽性荷電状態のアミノ基を介するイオン結合と水素結合により、消化管内でリン酸と結合し、体内へのリン吸収を阻害することで血清リン濃度を低下させる。ビキサロマーは、他のリン吸着剤と異なりカルシウムや鉄などの金属を含有しないことから、高カルシウム血症や金属の組織沈着による毒性発現の懸念がない。同じ非吸収性ポリマー製剤としてはセベラマー塩酸塩(商品名レナジェル、フォスブロック)がある。

 保存期CKD患者を対象とした国内臨床試験の結果から、ビキサロマーの有効性と安全性が確認され、適応拡大の承認に至った。同試験では、副作用(臨床検査値異常を含む)が31.4%に認められている。主な副作用は便秘・便秘増悪(17.3%)、腹部膨満、悪心(各2.2%)、腹部不快感、腹痛、下痢、嘔吐、便潜血陽性(各1.1%)であった。

 重大な副作用としては、腸管穿孔、腸閉塞、虚血性腸炎、消化管出血、消化管潰瘍、便秘・便秘増悪が報告されており、類薬では憩室炎、肝機能障害が報告されている。